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4 おっさんは、誰のもの?

4―12 おさらばだ!

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 4ー12 おさらばだ!

 その夜のことだ。
 俺は、深夜になるのを待ってそっと自分の家から抜け出そうとした。
 魔王城の核となることをその場逃れで引き受けてしまったものの、後で1人っきりになって考えると、やはり、無理だということになった。
 だって、そうだろ?
 すべての魔族の番になるなんてあり得ない!
 魔族の内の2人の相手をするだけでもボロボロになっているのに、さらに、この上になんて、無理すぎるだろうが。
 というわけで、俺は、逃亡をはかることにした。
 ほとぼりがさめるまで、しばらく隣国にでも逃げようと思っていた。
 何が、世界の平和のために、だ!
 何が、『ハーレム通信網』だっちゅうの!
 俺は、自由に生きるんだ!
 うん!
 俺は、頷いていた。
 奥様たちには悪いけど、もう、これ以上付き合ってられないよ!
 男なのに妊娠させられたり、スケベなこといっぱいされたり、挙げ句の果てに、魔族みんなの番?
 もう、やってられねぇよ!
 俺は、家を出ると隣に建てられていた奥様たちのお屋敷をじっと見上げた。
 月が煌々と照っている中に、妙に不釣り合いなお屋敷の姿が浮かび上がっている。
 それは、まさに城だった。
 美しいレンガ造りの赤茶色の壁の屋敷には、深夜というのにまだ灯りが点っていた。
 恐らくは、まだ奥様たちは宴の最中なのだろう。
 夕べ、みんなで祝杯をあげるとかなんとか言ってたしな。
 何が、祝杯だ、何が!
 俺を牢獄へと送る祝いか?
 一生、性奴隷のようにされて、魔族に飼われることになるのなんてごめんだ!
 俺は、1人で屋敷を辞して、部屋へと戻った。
 もちろん、魔王とテオは、俺と共に行動しようとしたので、俺は、気分がすぐれないからと牽制した。
 「ちょっと、1人になりたいんだ」
 俺がそう訴えかけると、魔王たちは、身を引いてくれた。
 「ゆっくりと休むがいい」
 そう、魔王は、俺に告げたが、表情は、決して喜んではいない様子だった。
 番と言いきるだけあって、魔王もテオも俺から離れようとはしなかった。
 だが、奥様たちの進言もあってか、俺を1人で休ませてくれることになった。
 俺は、1人になって考えた。
 そして、考えた末に逃げることにした。
 こんなバカな話、とても受け入れられない。
 とっととおさらばするしかない!
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