奥様は腐っている~やる気ないけどなんとなく玉の輿狙っていたのに婚約破棄されて腹立ちまぎれに通販で買った何かの卵を孵化してみました~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
上 下
51 / 110
4 おっさんは、誰のもの?

4―10 魔石

しおりを挟む
 4ー10 魔石

 俺は、仕方なく、本当に、仕方なく魔王城の核となることを受け入れることにした。
 「世界の平和のために、仕方なく受け入れよう」
 「ティル!」
 魔王が俺を抱き締める。
 「本当に感謝する、ティルよ」
 「だからって、お前たちを受け入れるってわけじゃないからな!」
 俺は、ガイを押し離した。
 「俺は、あくまでみんなのために引き受けるだけだからな!」
 「これで、魔族の問題は解決されるし、私たちの計画も次に進められるってことね」
 奥様が満足そうに微笑む。
 「ミミル先生、さっそく、魔道具製作者と連絡をとって」
 「わかったわ」
 ミミル先生が頷いた。
 「例のものも届けなくちゃいけないしね」
 「例のもの?」
 俺は、ミミル先生に訊ねた。
 ミミル先生は、露骨にしまったという顔をして奥様の方を見た。奥様は、ちょっとだけ困った顔をしていた。
 「実は、『通販』のために必要な魔道具を作るために大量の魔石がいるのよ」
 「マジですか?」
 魔石は、大変貴重なものだ。
 魔物や魔族が体内に持つ魔石は、いろいろな魔道具に使われている。
 その入手方法は、魔物の討伐が主なものだった。
 だから、魔石は、主に冒険者ギルドで取り扱われていた。
 冒険者が魔物討伐やらで手に入れた魔石は、冒険者ギルドで売り買いされ、魔道具製作者がそれを用いていろいろな魔道具を製作していた。
 魔道具は、我々の生活に欠かせない便利な道具だったが、万人が手に入れることができるわけではない。
  だが、魔力の弱い者や、まれにいる魔力を使えない者のためには重要な道具だった。
 「『通販』には、このタブレットのような道具が必要なんだけど、それを作るためには魔石が欠かせないの。でも、そんな大量の魔石は、なかなか手にいれられるものではないわ」
 ミミル先生が話した。
 「でも、その問題も解決したわ」
 「どうやって?」
 俺は、奥様たちに訊ねた。
 「そんなもの、どうやって手に入れるんです?」
 「それは」
 奥様がさらっとおっしゃった。
 「魔族からの提供を受けることによって解決したわ」
 魔族からの提供?
 俺は、驚いて魔王を見上げた。
 魔王は、特に表情も変えることなく答えた。
 「確かに、魔石は、我々が提供すると約束した」
 マジですか?
 俺は、驚愕を隠せない。
 だって、魔石って魔族や魔物の体内にある貴重なものですよ?
 魔族がなぜ、奥様ごときのためにそこまで身を削らないといけないわけ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第2の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...