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4 おっさんは、誰のもの?

4―9 特別なおっさんですか?

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 4ー9 特別なおっさんですか?

 「私たちの『通販』事業は、この魔族の能力を利用して全世界を網羅する通信網を築くことによって成り立つのよ」
 奥様が告げた。
 「要するに、魔王城を中心として巨大な、通信システムを作るのよ」
 「それを利用して『通販』するのよ」
 ミミル先生が目をキラキラさせている。
 「そして、魔族は、人間世界において受け入れられることになるわ」
 「まさに、ウィンウィンな関係よ!」
 奥様が唾を飛ばして話した。
 「これこそ、世界の改革!すばらしい『通販』の世界よ!」
 マジかよ?
 俺は、信じられないものを見るような目でみんなを見た。
 魔族との共存?
 そんなことが可能なのか?
 そうするとキュウが俺の胸に飛び込んできた。
 「キュウ!」
 俺に決断を促すのか?
 俺は、ふかふかのキュウの体を抱き締めた。
 「でも、やっぱり、無理!だって、俺は、男だし。子供生むだけでもギリギリ精一杯だし!」
 「ティル!ぐだぐだ言ってるんじゃないわよ!」
 奥様がキッパリクッキリと言い放つ。
 「いい?あんたは、受けの中の受け、キング オブ 受けなのよ!」
 はい?
 俺は、キュウを抱いたまま奥様をじっと凝視していた。
 なんですと?
 「受け?」
 俺は、なんのことやらわからずに
ポカンとしていた。
 奥様が咳払いをした。
 「いえ、その、ごめんなさい。ちょっと興奮してしまって。とにかく、ティルは、魔族の心の支え、魔王城の核となる運命なのよ。受け入れなさいな」
 そんなこと言われても。
 俺は、宇宙の果てまで引いていた。
 「俺は、ただのおっさんなんだぞ?」
 「お前は、特別なおっさんだ」
 ガイが俺に話した。
 「いや、特別な存在なんだ。頼む。我々、魔族を救ってくれ」
 「そんなこと、言われても」
 俺は、奥様たちを見た。
 奥様も、ミミル先生も、勇者まで、俺を生暖かい目で見詰めている。
 俺は、テオのことを見た。
 テオは、考え込んでいたが、やがて、顔をあげて俺を見詰めた。
 「お前は、何があっても俺のものだ。俺は、お前がどんなに特別なおっさんだろうとお前を愛する」
 「それは、私も、だ」
 魔王が告げた。
 「例え、みなの番となろうとも、私の愛は変わらない」
 いや、そこは、変わってくれよ!
 俺は、仕方なく小声で呟いた。
 「でも、一生魔王城の中に閉じ込められたりしないよな?」
 「もちろんよ、ティル」
 奥様が微笑んだ。
 「あなたは、私の大事な従僕、いえ、お友達ですもの。そんなところに閉じ込めたりはさせないわ」
 
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