奥様は腐っている~やる気ないけどなんとなく玉の輿狙っていたのに婚約破棄されて腹立ちまぎれに通販で買った何かの卵を孵化してみました~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
上 下
42 / 110
4 おっさんは、誰のもの?

4―1 離さない!

しおりを挟む
 4ー1 離さない!

  俺たちは、俺の家のリビングで全員集まっていた。
 なぜか、俺は、あの銀髪の魔族の膝の上に横座りに座らされていた。
 別に好きでこうしているわけではない。
 決して違う。
 俺は、顔から火の出るぐらい恥ずかしかったが抵抗できずにいた。
 なぜか、この男には逆らえない。
 たぶん、そういう魔法をかけられているのに違いなかった。
 今、俺の全身にはあのときと同じ番紋が浮き出ていた。
 この魔族の男は、俺の番紋をみなに見せつけるために俺を裸のままつれ回そうとしたが、それは、さすがにやめてくれと頼んで服を着させてもらった。
 だが、男は、俺には下履きしか与えてくれなかった。
 「これでも譲歩している。本来、番紋の出ている番には、服など着せないものだ」
 マジですか?
 奥様とミミル先生は、知らない魔族に抱き抱えられた俺をガン見している。
 テオは、横で牙を向いているが、俺が止めているのでなんとか飛びかかってくるのをこらえている様だった。
 キュウはというと、この男の背におぶさって嬉しげにきゅうっと鳴いていた。
 どうやら、生まれてすぐに見たからか、懐いているようだった。
 リビングには、妙に緊迫した空気が流れていて、俺たちは、誰も口を閉ざしていた。
 息詰まる様な時間が過ぎた。
 「で?あなたは、うちのティルをどうしたいのかしら?」
 唐突に、奥様が魔族に問いかけた。
 魔族の男は、愉快げに口許を歪めた。
 「さっき言った通りだ。連れ帰って妃にする」
 妃?
 俺は、ぎょっとしていた。
 魔族の中に連れ戻されるのも、監禁されるのも、もう嫌だ!
 奥様は、俺の方を見て訊ねた、
 「ティルは、どうしたいの?」
 「俺は」
 俺は、この魔族が恐ろしかった。
 なにしろ魔王軍の幹部らしい男だ。
 それに、あの一昼夜のことが体に刻まれているしな。
 とにかく、もう、離してほしかった。
 「下ろしてほしいんだが」
 俺は、なんとか掠れた声で言った。
 が、魔族の男は、一言呻いた。
 「ダメだ」
 なんでっ?
 俺が視線で問いかけると男は、答えた。
 「こいつは、一度、私のもとから逃げ出した。二度とは逃すわけにはいかん」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

よく効くお薬〜偏頭痛持ちの俺がエリートリーマンに助けられた話〜

高菜あやめ
BL
【マイペース美形商社マン×頭痛持ち平凡清掃員】千野はフリーのプログラマーだが収入が少ないため、夜は商社ビルで清掃員のバイトをしてる。ある日体調不良で階段から落ちた時、偶然居合わせた商社の社員・津和に助けられ……偏頭痛持ちの主人公が、エリート商社マンに世話を焼かれつつ癒される甘めの話です◾️スピンオフ相川x太田【爽やか甘重な営業エースx胃腸が弱いエンジニア】◾️2024/9/9スピンオフ白石x片瀬(幼馴染同士)をアップ

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?

ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。 ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。 そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。

処理中です...