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2 旅の道連れは魔王様?

2―10 番紋

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 2ー10 番紋

 「どういうことだ?」
 俺は、ガイに訊ねた。
 「あんたは、さっき俺のことを番といった。それなのに、また、今、このキュウとの間に番契約が結ばれたっていう」
 「そんなこと、私の方がききたい」
 ガイがキュウを離して俺の方へと近づいてきた。
 「お前は、確かに私の番でもあるというのに、同時に、その淫紋を彫ったものの番でもあり、そして、このキュウの番でもある」
 「そんなの変じゃね?」
 俺は、俺にすり寄ってくるキュウを抱き締めながらきいた。
 「なんで、何人もの番なんだよ?」
 「おそらくお前は、特殊なんだろうな」
 ガイがキュウを挟んで俺に触れてきた。
 「お前は、たぶん愛の女神の加護を受けし者なのだろう。だから、いくつもの愛の契約を受け入れることが可能なんだろう。実に腹立たしいことだが」
 「なんだ、それ?」
 俺は、呆れていた。
 「そんなの加護じゃなくて悪戯じゃね?」
 「そうかもしれんな」
 ガイは、俺に顔を寄せるとそっとキスをしてきた。
 はい?
 俺は、ガイを避けてそっぽを向いた。
 「とにかく、はっきり言っとくが、俺は、男に興味はないからな!」
 「そんなものを体に刻まれているのにか?」
 ガイは、にやっと笑った。
 「フィオルの淫紋に、私の番の証も刻まれている。さらには、この竜の子とも絆を結んだのだ。お前には、もう、選択権などない」
 「なっ!」
 ガイに抱き寄せられて、俺は、勢い余ってガイの胸に顔から飛び込んだ。
 ガイは、俺をぎゅっと力強く抱くと囁いた。
 「もう、逃がさんぞ、人間」
 「人間って」
 俺は、抗議した。
 「俺にも、ちゃんとした名前があるんだけど?」
 「なんという名だ?」
 ガイに問われて、俺は、しまった、と気付いて口をつぐんだ。
 これだと、俺は、名前でさらに絆を結ばれてしまう。
 「お前の名は、なんだ?答えろ!」
 「俺の、名は・・」
 俺は、答えたくはなかったが、なぜか、なぜか、素直に答えてしまう。
 「・・ティル・ソニアだ」
 「そうか、ティル。いい名だ」
 ガイがそう言うと俺の額に口付けた。
 ガイに口付けられた場所が熱い。
 というか、徐々に全身にその熱が拡がっていくのがわかった。
 「何をした?」
 「何も」
 ガイは、とぼけるように答えた。
 「ただ、お前に施した番紋を完成させただけだ」
 なんですと?
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