2 / 110
1 始まりは、婚約破棄ですか?
1―2 手紙
しおりを挟む
1ー2 手紙
俺の一日の仕事は、まずは奥様のもとへ目覚めのお茶を運ぶことから始まる。
奥様は、毎日、遅くまで夜更かしして酒を飲みながら1人でいつも肌身離さず持っている銀色の板のようなものを相手にぶつぶつ言いながらねっとさーふぃんとやらをしている。
だから、奥様の朝は、遅い。
すっかり日が上った頃になってからやっと、奥様は、起きられる。
「失礼いたします」
俺が奥様の寝室の扉を開くと、奥からぐごごご、という低い地響きのようなイビキが聞こえてくる。
どうやら奥様は、まだお休み中のようだ。
俺は、ため息をつき、窓をおおうカーテンを開けて部屋の中へと太陽の光を導きいれた。
「んぅっ・・」
奥様がむずがるような声を漏らしてベッドの上に起き上がられる。
「もう、起こさないでっていってるでしょ!ティル」
「ですが、奥様」
俺は、ボサボサの髪に、浮腫んだ顔をさらしている奥様をできるだけ見ないように目をそらしながら奥様に熱いお茶の入ったカップを皿にのせて手渡す。
俺様は、大口を開けてあくびをしながら細い目をさらに細めてお茶を一口すすると言い放った。
「やっぱ、朝は、コーヒーがいい」
「こーひー、ですか?」
俺が問いかけると奥様は、にやりと笑った。
「そうか、この世界にはコーヒーは、まだないんだ」
そう言うと奥様は、手元に持たれていた板をなにやら操作された。
すぐに、ポン、と何もない空間から布袋に入れられた何かと一冊の本が現れた。
奥様は、俺に袋と本を手渡した。
「明日からは、これで頼むわね、ティル」
「かしこまりました」
俺は、大人しく頷くと生活魔法の使えない奥様のために風呂の用意などを整えた。
奥様にも、いいところはある。
それは、産まれながらのお貴族様とは違い、奥様は、自分のことはわりと自分でされるということだった。
こうして、風呂などの用意をしたら後は、呼ばれるまでは特に仕事はなかった。
俺は、いつものように部屋を出ていこうとしてはっと思い出してポケットから一通の手紙を取り出して奥様に手渡した。
それは、辺境伯の封印が押されたもので、たぶん、ハツ様からのものだった。
そうして、俺は、部屋を後にした。
俺の一日の仕事は、まずは奥様のもとへ目覚めのお茶を運ぶことから始まる。
奥様は、毎日、遅くまで夜更かしして酒を飲みながら1人でいつも肌身離さず持っている銀色の板のようなものを相手にぶつぶつ言いながらねっとさーふぃんとやらをしている。
だから、奥様の朝は、遅い。
すっかり日が上った頃になってからやっと、奥様は、起きられる。
「失礼いたします」
俺が奥様の寝室の扉を開くと、奥からぐごごご、という低い地響きのようなイビキが聞こえてくる。
どうやら奥様は、まだお休み中のようだ。
俺は、ため息をつき、窓をおおうカーテンを開けて部屋の中へと太陽の光を導きいれた。
「んぅっ・・」
奥様がむずがるような声を漏らしてベッドの上に起き上がられる。
「もう、起こさないでっていってるでしょ!ティル」
「ですが、奥様」
俺は、ボサボサの髪に、浮腫んだ顔をさらしている奥様をできるだけ見ないように目をそらしながら奥様に熱いお茶の入ったカップを皿にのせて手渡す。
俺様は、大口を開けてあくびをしながら細い目をさらに細めてお茶を一口すすると言い放った。
「やっぱ、朝は、コーヒーがいい」
「こーひー、ですか?」
俺が問いかけると奥様は、にやりと笑った。
「そうか、この世界にはコーヒーは、まだないんだ」
そう言うと奥様は、手元に持たれていた板をなにやら操作された。
すぐに、ポン、と何もない空間から布袋に入れられた何かと一冊の本が現れた。
奥様は、俺に袋と本を手渡した。
「明日からは、これで頼むわね、ティル」
「かしこまりました」
俺は、大人しく頷くと生活魔法の使えない奥様のために風呂の用意などを整えた。
奥様にも、いいところはある。
それは、産まれながらのお貴族様とは違い、奥様は、自分のことはわりと自分でされるということだった。
こうして、風呂などの用意をしたら後は、呼ばれるまでは特に仕事はなかった。
俺は、いつものように部屋を出ていこうとしてはっと思い出してポケットから一通の手紙を取り出して奥様に手渡した。
それは、辺境伯の封印が押されたもので、たぶん、ハツ様からのものだった。
そうして、俺は、部屋を後にした。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
好きになれない
木原あざみ
BL
大学生×社会人。ゆっくりと進む恋の話です。
**
好きなのに、その「好き」を認めてくれない。
それなのに、突き放してもくれない。
初めて本気で欲しいと願ったのは、年上で大人で優しくてずるい、ひどい人だった。
自堕落な大学生活を過ごしていた日和智咲は、ゼミの先輩に押し切られ、学生ボランティアとしての活動を始めることになる。
最初は面倒でしかなかった日和だったが、そこで出逢った年上の人に惹かれていく。
けれど、意を決して告げた「好き」は、受け取ってもらえなくて……。というような話です。全編攻め視点三人称です。苦手な方はご留意ください。
はじめての本気の恋に必死になるこどもと、素直に受け入れられないずるいおとなのゆっくりと進む恋の話。少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
マフィアのペットになりました。
かとらり。
BL
藤谷真緒はごく普通の日本人。
ある時中国に出張している父親に会いに行ったら、チャイニーズマフィアに誘拐されて次期トップの李颯凛(リ・ソンリェン)に飼われることになってしまう。
「お前は俺のペットだ」
真緒は颯凛に夜な夜な抱かれてー…
悪役令息の兄には全てが視えている
翡翠飾
BL
「そういえば、この間臣麗くんにお兄さんが居るって聞きました!意外です、てっきり臣麗くんは一人っ子だと思っていたので」
駄目だ、それを言っては。それを言ったら君は───。
大企業の御曹司で跡取りである美少年高校生、神水流皇麗。彼はある日、噂の編入生と自身の弟である神水流臣麗がもめているのを止めてほしいと頼まれ、そちらへ向かう。けれどそこで聞いた編入生の言葉に、酷い頭痛を覚え前世の記憶を思い出す。
そして彼は気付いた、現代学園もののファンタジー乙女ゲームに転生していた事に。そして自身の弟は悪役令息。自殺したり、家が没落したり、殺人鬼として少年院に入れられたり、父に勘当されキャラ全員を皆殺しにしたり───?!?!しかもそんな中、皇麗はことごとく死亡し臣麗の闇堕ちに体よく使われる?!
絶対死んでたまるか、臣麗も死なせないし人も殺させない。臣麗は僕の弟、だから僕の使命として彼を幸せにする。
僕の持っている予知能力で、全てを見透してみせるから───。
けれど見えてくるのは、乙女ゲームの暗い闇で?!
これは人が能力を使う世界での、予知能力を持った秀才美少年のお話。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
加筆修正中 モブで平凡に転生したのに攻略対象がほっといてくれない
リョウ
BL
ルカ・フォン・グレーフェンベルク 18歳
乙女ゲーム 彼方を見つめてフォーリンラブ の世界に生きるモブである
今日は学園の卒業式
さっさとうちに帰って甘いものを食べたい!
平穏な日々を送りたいと思うのに
攻略対象は今日もやってくる!
登場キャラにヤンデレというか割とやばいタイプの攻めが出てくるのでご注意ください。
今後の展開で無理やりの挿入なし描写もあります
注意書きになります
旧題名 攻略対象の恋愛対象
腐女子出てきますので注意
勢いとノリで書いてるだけなのでご都合主義になります。
ゆるりと加筆修正中です
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる