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7 入学祝は、奴隷ですか?

7-7 贈り物ですか?

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             7ー7   贈り物ですか?

    そのストレージから取り出された家は、大きすぎもせず、かといって小さいということもないちょうどいい大きさの家だった。
   赤茶色の瓦葺きの小ぢんまりとした白壁の平屋建てのその家を一目見て、俺は、すっかり気に入ってしまった。
    庭もけっこう広いしな。
   というか。
  これって畑じゃね?
   なんか、実がなってるんですけど?
   それに、家の裏口の辺りには焚きやすいように割られた薪が積まれているし。
   めっちゃ人の住んでた感が半端ないんですけど?
     俺は、この家を俺に贈ってくれたアリステアさんに興味を持っていた。
   いったい、どういう人なわけ?
   まあ、そのうちには、ハッキリとする筈だ。
   俺は、ギルバートに探りを入れてもらっていた。
   やっぱ、気になるしな。
    呪いとかかかってたら嫌だし。
    家の中をイーサンと見聞したけど、これといって問題もなさげだった。
   俺は、すぐにこの家に引っ越してくることに決めた。
   結局、この家で暮らすことになったのは、俺とイーサンとアメリとそれにギルバートの4人だった。
    5LDKの家なので1人に一室づつ個室があった。
   本当は、ギルバートは、神殿に残ってもらおうと思っていたのだが、俺がそう告げるとギルバートの顔色が青ざめて、さめざめと泣き出してしまった。
    「聖母様のお着きの従者として取り立てていただいたことはカーズ家一同の誉れでございました。なのに、こんな短期間で首になったのでは家族にも申し訳がたちません。どうか、庭の犬小屋でもいいからこのギルバートもお連れくださいませ」
   犬小屋って・・
   俺は、仕方なくギルバートを連れていくことにした。
   引っ越しは、すぐに片付いた。
   俺もアメリも、イーサンも、みなあまり物持ちではないし、ルイスとレイテも手伝いに来てくれたからな。
    俺は、ふと気づいてイーサンに訊ねた。
   「あの、5人目の人、は?」
    「5人目?」
   イーサンが小首を傾げた。
   俺は、イーサンにせっつくようにきいた。
   「ほら、初染めのときにいた、5人目の人、だよ?」
    「ああ、あの者ですか」
    イーサンは、少しムッとしているような様子をしていた。
   「あの者は、気まぐれ故に気になさらなくても大丈夫です」
    そうなの?
   俺は、実は、5人目の名前をいまだに知らない。
   どんな外見なのかも、よくは覚えていなかった。
   だって、あの日は、あの人は、仮面をはずしていなかったし、俺も、ちょっとテンパってたしな。
   だけど、そのことはグーリスじいちゃんたちには聞くことができなかった。
   俺が一夜を供に過ごした筈の夫の名前を知らないなんてことになるとさすがに不味いだろ?
    だけど。
   俺の引っ越しにも顔を出さないし、それに、例の贈り物リストにもそれらしい人物からの贈り物もなかった。
   それに、会いに来るわけでもなければ、連絡もなかったし。
   いや。
   別に、連絡をとりたいとかいうわけじゃないんだけどさ。
    
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