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4 騎士の誓いと、約束と

4-3 仕切り直しですか?

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            4ー3    仕切り直しですか?

   本気かよ?
   俺は、怒りにふるふると震えていた。
   この俺の純潔をそんなことに利用しようなどとはとんでもない奴等だな!
    アメリは、途中から黙り込んでギルバートの話に耳を傾けていたが、不意に俺にきいた。
    「レン、喉乾かない?」
     「はい?」
     「なんか、この部屋、暑くない?俺、喉乾いちゃった」
    うん?
   そういえば、暑いような。
    この国は、けっこう暖かい。
    冬でも、雪なんてほとんど降らないらしい。
    四季のはっきりした世界から来た俺からすれば、暮らしやすそうに思われる。
    俺は、アメリの言葉にしぶしぶ頷いた。
    「確かに、ちょっと暑いかも」
    「ギルバート、俺とレンに何か飲み物を」
    アメリがギルバートに念を押すように微笑んだ。
     「いいか?今度は、間違えるんじゃないぞ」
    おお?
    俺は、アメリの言葉に感心していた。
   なんだかんだ言っても、アメリって、さすがに神子様だな。
   ギルバートが間違えて俺に薬を入れてしまったってことにしてギルバートに助け船を出してやろうってんだな。
    俺は、ギルバートに微笑みかけた。
   「俺からも頼むよ、ギルバート」
     「は、はい」
    ギルバートは、なぜか、青ざめた表情のままで部屋を出ていくと、数分後には、お茶の用意をし直して戻ってきた。
     「お待たせしました」
      震える手でギルバートは、俺にお茶を差し出してくる。
    俺は、もう怒っていないということをギルバートに伝えるためににっこりとギルバートに微笑みかけた。
    「ありがとう、ギルバート」
    俺は、受け取ったお茶を一口飲んだ。
   爽やかな柑橘系の香りが漂う。
   「なんか、これ、さっぱりしてて美味しいな」
    「そ、そうですか?レンタロウ様」
    ギルバートは、怯えるような目をして俺とアメリを見つめていた。
    うん?
    ギルバートの奴、まだ、気にやんでいるんだな。
    真面目で、いい奴だからな。
   俺は、お茶のカップをテーブルに置くと、ギルバートに笑いかけた。
   「うん。仄かに甘くて美味しいよ」
   ギルバートが目を泳がせる。
   うん?
   なんか、変?
    「どうかしたのか?ギルバート」
      俺は、できるだけ優しくギルバートに問いかけた。
    ギルバートは、慌てて返事をした。
   「い、いえ、何も!」
    「そうだよ、レン」
    アメリは、俺に微笑んだ。
    「もう、何も、問題はないんだよ」
      「そうだよな」
    俺は、カップを手にとるとお茶を飲み干した。
    
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