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7 勇者と魔界国

7ー12 帰ってきなさい!

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 7ー12 帰ってきなさい!

 俺は、みなが寝静まるのを待ってからそっと寝床を抜け出した。
 そして、動きやすい服装に着替えるとクローディア母さんが作ってくれた姿を消せるローブを身にまとった。
 家を抜け出すと外には、リリウスとエディット、オウラ、それにロナードとルウシエがすでに待っていた。
 はい?
 俺は、驚いていた。
 だって、俺は、1人で行くつもりだったからな。
 「なんで?」
 「お前の嘘ぐらい俺たちが見抜けないとでもおもっているのかよ?クロ」
 リリウスがにやっと笑った。
 エディットがそっと俺の手に触れてきた。
 「私たち、いつも一緒でしょ?」
 「婿殿が戦場に行くというなら私も当然行かなくてはな」
 オウラが笑った。
 俺は、みんなにきいた。
 「行けば、みんな、ただじゃすまないんだぞ?」
 だって、俺は、勇者の宿敵だから。
 奴がなにより倒したがっているそのものなんだから。
 「何を今さら」
 ロナードがぶっきらぼうに言ってにやっと笑った。
 「さんざん俺に迷惑をかけておいて」
 「いや、迷惑をかけてのは、お前のほうだろうが」
 ルウシエがロナードに突っ込んだ。
 「まったく、ただの鍛冶師には重すぎる仕事だな」
 「鍛冶師見習いだろうが」
 ロナードが言い返した。
 俺は、胸がいっぱいになっていた。
 こいつら、バカばっかりだな。
 でも、最高なバカだ。
 「いいのか?お前たち」
 俺がきくと、みな口々に答えた。
 「いいに決まってるだろうが!」
 「私は、いつもクロ様と一緒ですから」
 エディットが微笑んだ。
 「それにきっとマリージアでは私の力が役立つはずです」
 ちっ!
 俺は、舌打ちした。
 こいつらには、かなわない。
 俺は、転移魔法を展開した。
 「行くぞ!」
 「おうっ!」
 そのとき、家から誰かが出てくるのが見えた。
 クローディア母さんとティミストリ父さんだ。
 「クロージャー」
 クローディア母さんがため息をついた。
 「嘘つきは、後でお仕置きしますからね」
 「ごめん、母さん。でも、俺」
 「ちゃんと叱られに帰ってきなさい、クロージャー」
 クローディア母さんは、俺に美しい帯を手渡した。
 「これは、武運を祈って作ったものです。きっとあなたを守ってくれるわ」
 俺は、それを受け取ると腰に巻く。
 ティミストリ父さんが俺を見つめた。
 「クロージャー、我々、トカゲの谷の者が手助けできることがあればなんでも遠慮せずに言うんだぞ」
 「父さん」
 俺は、頷くと、転移の魔法を発動させた。
 「行くぞ!みんな」
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