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7 愛する魔王たち
7-11 ただ1人
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7ー11 ただ1人
俺と影とロナードは、まるで本物の家族のようにその森で暮らしていた。
影は、俺たちのために魔王の小屋を直し、畑を耕し、パンを焼いた。
俺も、畑で取れたものでちょっとした料理を作ったり、薬草を育てたりしていた。
俺は、この魔王の森の中で今までの人生の中で1番、満ち足りた時を過ごした。
けども。
俺の心は、ここにはないのだ。
俺の魂は、あの人のもとに置いてきたのだから。
俺は、イェイガーの欠片の首飾りを幼いロナードへ譲り渡した。
『仕方がないのう。主の子だしな』
イェイガーは、諦めたような声を出した。
影は、子供にとって理想的な父親だといえた。
かつていろいろな罪に染まっていたであろう手で赤子をあやす影は、戸惑いの表情を見せていたが、それも今では慣れたものでロナードも影のことを慕ってなついていた。
ある日、影の作った食事を食べながらロナードが影に訊ねた。
「『影』なんて変な名前だね」
「本当の名ではありませんからね」
影は、ロナードに話した。
「私の名を知るものは、ただ1人を覗いては、死者のみですから」
「ふぅん」
ロナードは、もぐもぐと口を動かしながら影になおも訊ねた。
「じゃあ、僕も死ななきゃ、ダメなの?」
「いえ」
影は、答えた。
「あなたは、かまいません」
「じゃあ、教えてくれるの?」
ロナードに影は、優しく微笑んだ。
「いえ、教えません」
「なんで?」
「それは」
影が俺を見つめた。
「私の愛する人のみが知るものですから」
「僕のことは愛してないの?」
ロナードが駄々をこねるのを影は、笑って見ていた。
「1番、愛している人ですよ」
「じゃあ」
ロナードの表情がぱぁっと明るくなった。
「いつか、僕が影の1番になる!」
「それは、ダメです」
影は、ロナードの申し出にきっぱりと応じた。
「私の世界で1番愛する人は、決して私のことを1番愛してはくれないので」
「どういうこと?」
ロナードがきいたが、影は、ただ笑っていて。
それ以上は、答えることはなかった。
俺と影とロナードは、まるで本物の家族のようにその森で暮らしていた。
影は、俺たちのために魔王の小屋を直し、畑を耕し、パンを焼いた。
俺も、畑で取れたものでちょっとした料理を作ったり、薬草を育てたりしていた。
俺は、この魔王の森の中で今までの人生の中で1番、満ち足りた時を過ごした。
けども。
俺の心は、ここにはないのだ。
俺の魂は、あの人のもとに置いてきたのだから。
俺は、イェイガーの欠片の首飾りを幼いロナードへ譲り渡した。
『仕方がないのう。主の子だしな』
イェイガーは、諦めたような声を出した。
影は、子供にとって理想的な父親だといえた。
かつていろいろな罪に染まっていたであろう手で赤子をあやす影は、戸惑いの表情を見せていたが、それも今では慣れたものでロナードも影のことを慕ってなついていた。
ある日、影の作った食事を食べながらロナードが影に訊ねた。
「『影』なんて変な名前だね」
「本当の名ではありませんからね」
影は、ロナードに話した。
「私の名を知るものは、ただ1人を覗いては、死者のみですから」
「ふぅん」
ロナードは、もぐもぐと口を動かしながら影になおも訊ねた。
「じゃあ、僕も死ななきゃ、ダメなの?」
「いえ」
影は、答えた。
「あなたは、かまいません」
「じゃあ、教えてくれるの?」
ロナードに影は、優しく微笑んだ。
「いえ、教えません」
「なんで?」
「それは」
影が俺を見つめた。
「私の愛する人のみが知るものですから」
「僕のことは愛してないの?」
ロナードが駄々をこねるのを影は、笑って見ていた。
「1番、愛している人ですよ」
「じゃあ」
ロナードの表情がぱぁっと明るくなった。
「いつか、僕が影の1番になる!」
「それは、ダメです」
影は、ロナードの申し出にきっぱりと応じた。
「私の世界で1番愛する人は、決して私のことを1番愛してはくれないので」
「どういうこと?」
ロナードがきいたが、影は、ただ笑っていて。
それ以上は、答えることはなかった。
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