王のβ~異世界後宮物語~

トモモト ヨシユキ

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7 愛する魔王たち

7-2 ルードラ

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              7ー2    ルードラ

   すごく不安材料は多かったけど、俺たちを乗せた飛竜は、無事に城から飛び立った。
    上空から見たこの世界は、一面の平らかな水面で、鏡のように世界を写し出していてとても美しかった。
    「これが魔王の魔力の海か・・」
    俺は、世界を覆い尽くすこの青くて暗い水面に言葉を失っていた。
    これほどの力を持つ魔王にこの俺が勝てるのだろうか?
   だが。
   俺は、ブルブルっと頭を振った。
   できるかどうかとかじゃない。
   なんとかして勝たなくてはいけないのだ。
   生きて、再び、あの人に会うために。
   俺たちを乗せた飛竜は、小1時間ほど上空を飛んでいた。
    すると、波1つなかった水面に変化があった。
   海の水がどんどん浅くなっていく。
   それどころか、ところどころ水が干からびてしまっていた。
   「これは・・・」
    「魔王が魔力を供給していないために、瘴気の海が干上がっているのです」
   サギリが俺に告げた。
   「そろそろ、下に降ります」
    俺は、着陸に備えてぎゅっとサギリにしがみついて体を固くしていた。
    サギリが一瞬、びくっとしたような。
    いや、たぶん、気のせいだよな?
   俺たちを乗せた飛竜は、水が干上がって乾いてひび割れた場所へと着地した。
    ロキの飛竜に同乗していたロリアが先に下に降りて、俺を飛竜の上から抱き下ろした。
   「ありがとう、ロリア」
    「いえ、兄上、お気をつけられてください。あなたは、1人の体ではないのですから」
    ロリアは、俺を横抱きにして地面へ下ろそうとはしなかった。
   「下は、足元が悪いので、しばらくこのまま辛抱してください、兄上」
    ロリアがそっと俺に囁く。
   俺は、耳をくすぐられて、びくんと体を揺らせた。
   「じっとしてて」
    「は、はい!」
    俺は、仕方なくロリアの首もとへ捕まってじっと抱かれて運ばれることにした。
    先を歩いているルードラが俺たちのことをちらちらと盗み見ていた。
   俺と目があうと、なぜかやつは、慌てて目をそらす。
   何だ?
   俺は、感じの悪さにムカついていた。
   何か言いたいことがあるのなら、さっさと言えよな!
   
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