王のβ~異世界後宮物語~

トモモト ヨシユキ

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6 魔王の森

6-12 魔王討伐!

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              6ー12   魔王討伐!

   「イェイガー!」
    『主よ!我を手に取るがいい!』
    俺は、剣の姿になったイェイガーの柄を両手で掴んで2人に向かって叫んだ。
    「やめろ!2人とも!」
    「「何!」」
    イェイガーが一瞬巨大化したかと思うと2人がヘナヘナっとその場に座り込んだ。
   「くっ・・それは、魔剣イェイガー、か?」
    「まさか、兄上が、そのような物をお持ちだとは・・」
    俺たちは、再び、話し合いを再開した。
   今度は、イェイガーの立ち会いのもとである。
   テーブルの中央に浮かんだイェイガーにロリアとアルモナス王は、気まずそうな表情を浮かべている。
   どうやら、イェイガーは、魔物や、魔人といった存在の魔力を吸い取る力を持っているらしい。
    「しかし、御子がまさか、魔剣イェイガーをお持ちとは。驚きましたな」
   アルモナス王は、ひきつった笑顔を見せた。
   「これなら、我らの世界を救うことも容易いでしょ」
   マジですか?
   「それどころか、人の子の世界に戻ることも可能かもしれません」
   「ならば!」
    ロリアが立ち上がった。
   「すぐにでももとの世界へ!」
   「いや、さすがの魔剣でも今すぐには無理だな」
   アルモナス王がロリアを小バカにするように笑った。
   ロリアが、ムッとして王を睨んだ。
   「なんだと?」
    「この魔剣で魔王の力を吸い取ることで、もとの世界へ帰ることが可能になるやもしれない、と私は言っているんだ!」
     魔王の力を吸い取る?
   そんなことができるのか?
   だが。
   俺は、立ち上がるとイェイガーを手にした。
   やらなくては、ならない。
   もとの世界に戻るために!
   『しかし、なぜ、魔王は殺されるのだ?』
    イェイガーがアルモナス王に訊ねた。
   アルモナス王は、イェイガーにびくつきながらも答えた。
   「それは、魔王が瘴気を浄化しているからです」
    ええっ?
   俺は、アルモナス王を見た。
   「なんで魔王が自分の魔力を浄化してるわけ?」
   「それは・・」
    アルモナス王が俺に語ったことによると、魔王は数年前に死に、新しい魔王がこの世界によって選ばれたのだという。
   「だが、それは、でき損ないの魔王だったのです」
   アルモナス王は、続けた。
 魔王は、確かに強大な魔力を持っているのだが、その魔力を自ら打ち消してしまう力を持っているのだという。
    「このままでは、瘴気は枯れ果て、この世界は滅びます。それ故、あの魔王は死なねばならないのです」
    マジかよ?
   俺は、なんか、理不尽なものを感じたが、理由はどうであれ、俺が、魔王を倒さなくてはならないことに変わりはなかった。
   生きて、アリスティア王のもとへ帰るために。
   こうして、俺は、魔王の討伐をすることとなった。
    絶対に、生きて帰る!
    この子と共に。
   俺は、心に固く決めていた。
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