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6 魔王の森
6-10 勇者は、妊娠中です。
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6ー10 勇者は、妊娠中です。
「ちょっと、待ってください」
俺は、アルモナス王に正直に話すことにした。
「俺、今、妊娠しててとてもじゃないけ ど、魔王とかと戦いとか、無理ですよ?」
「はい?」
アルモナス王が笑顔のままで凍りついた。
「にんしん?」
「はい」
俺は、頷いた。
「およそ5ヶ月ぐらいです」
「なんという・・」
アルモナスは、呆れたという様子で、俺を凝視した。
「勇者が?よりにもよって私たちの勇者が孕んでいる、と?」
「そうだ」
俺は、きっぱりくっきりと認めた。
「間違いなく孕んでいる」
「・・誰なのです?」
アルモナス王は、静かな怒りを湛えた青い瞳で俺を見つめてきいた。
「私たちの勇者である御子を孕ませたのは?」
「それは」
俺は、言葉を濁した。
「人の子の王、だ」
「なんということを!」
アルモナス王は、取り乱し叫んだ。
「誰か!誰か、これへ!」
「はっ!」
すぐに駆け付けた赤茶色の髪の若者にアルモナス王は、命じた。
「人の子の国を滅ぼす!準備をせよ!」
はい?
俺は、慌ててアルモナス王にすがり付くように王に懇願した。
「待って、ちょっと、待ってくれ!」
「離してください!御子よ!」
アルモナス王は、俺の手を振りほどくと俺を冷たく見下ろした。
「あなたを心身ともに汚し、孕ませた罪によって人の子の世界は、滅ぶのです!お止めくださるな!」
「そんなことになったら、俺たちが戻るところがなくなっちゃうじゃないか!」
俺は、懸命に訴えた。
「俺の子の父親だって、いるんだぞ!」
「なら、余計に討ち滅ぼさねばならない」
アルモナス王は、少し落ち着きを取り戻した様子で俺を見た。
「いずれにせよ、この世界が滅べば、人の子の世界も滅ぶのですから、今滅ぼされてもそんなに変わりはございません」
はぁっ?
俺は、腹立ちを覚えていた。
どういうことだよ?
アルモナス王は、俺とロリアを城のただっぴろいサンルームへと導くとそこでお茶を振る舞ってくれた。
濃い緑のお茶は、少し甘くてホッとする美味しさだったが、王は、俺には、別のお茶を用意するようにと従者に命じた。
俺の飲んでいたお茶を取り上げると、従者は、俺のために別のお茶を運んできた。
「腹のお子のためには、こちらのお茶の方がよいでしょう」
王は、俺が出されたお茶をちびちびと飲んでいる姿を見て目を細めた。
「本当に愛らしい方だ。このような可憐な方を手込めにしようとは、なんと鬼畜な輩か!」
アルモナス王の口調に、思わず俺は、口を閉ざした。
ここにも、俺を手込めにしようとした人がいましたよね?
「まったく、そんなことをしようとするのは、兄上だけだと思っていたのに」
アルモナス王の言葉に、ロリアが反応した。
「どういうことでしょうか?」
「いえ、先程、少し、行き違いがありましたので」
アルモナス王が言葉を濁したが、ロリアは、見逃さなかった。
「兄上に、何かしようとした者がいたのですか?」
「いえ、その・・私の兄は、少し問題のある者でして」
アルモナス王がもごもごと呟く。
「少し、御子にちょっかいを・・」
「兄上に?」
ロリアが許しがたいという様に唸った。
「許せない!私の兄上に、手を出そうとするなんて!」
「ちょっと、待ってください」
俺は、アルモナス王に正直に話すことにした。
「俺、今、妊娠しててとてもじゃないけ ど、魔王とかと戦いとか、無理ですよ?」
「はい?」
アルモナス王が笑顔のままで凍りついた。
「にんしん?」
「はい」
俺は、頷いた。
「およそ5ヶ月ぐらいです」
「なんという・・」
アルモナスは、呆れたという様子で、俺を凝視した。
「勇者が?よりにもよって私たちの勇者が孕んでいる、と?」
「そうだ」
俺は、きっぱりくっきりと認めた。
「間違いなく孕んでいる」
「・・誰なのです?」
アルモナス王は、静かな怒りを湛えた青い瞳で俺を見つめてきいた。
「私たちの勇者である御子を孕ませたのは?」
「それは」
俺は、言葉を濁した。
「人の子の王、だ」
「なんということを!」
アルモナス王は、取り乱し叫んだ。
「誰か!誰か、これへ!」
「はっ!」
すぐに駆け付けた赤茶色の髪の若者にアルモナス王は、命じた。
「人の子の国を滅ぼす!準備をせよ!」
はい?
俺は、慌ててアルモナス王にすがり付くように王に懇願した。
「待って、ちょっと、待ってくれ!」
「離してください!御子よ!」
アルモナス王は、俺の手を振りほどくと俺を冷たく見下ろした。
「あなたを心身ともに汚し、孕ませた罪によって人の子の世界は、滅ぶのです!お止めくださるな!」
「そんなことになったら、俺たちが戻るところがなくなっちゃうじゃないか!」
俺は、懸命に訴えた。
「俺の子の父親だって、いるんだぞ!」
「なら、余計に討ち滅ぼさねばならない」
アルモナス王は、少し落ち着きを取り戻した様子で俺を見た。
「いずれにせよ、この世界が滅べば、人の子の世界も滅ぶのですから、今滅ぼされてもそんなに変わりはございません」
はぁっ?
俺は、腹立ちを覚えていた。
どういうことだよ?
アルモナス王は、俺とロリアを城のただっぴろいサンルームへと導くとそこでお茶を振る舞ってくれた。
濃い緑のお茶は、少し甘くてホッとする美味しさだったが、王は、俺には、別のお茶を用意するようにと従者に命じた。
俺の飲んでいたお茶を取り上げると、従者は、俺のために別のお茶を運んできた。
「腹のお子のためには、こちらのお茶の方がよいでしょう」
王は、俺が出されたお茶をちびちびと飲んでいる姿を見て目を細めた。
「本当に愛らしい方だ。このような可憐な方を手込めにしようとは、なんと鬼畜な輩か!」
アルモナス王の口調に、思わず俺は、口を閉ざした。
ここにも、俺を手込めにしようとした人がいましたよね?
「まったく、そんなことをしようとするのは、兄上だけだと思っていたのに」
アルモナス王の言葉に、ロリアが反応した。
「どういうことでしょうか?」
「いえ、先程、少し、行き違いがありましたので」
アルモナス王が言葉を濁したが、ロリアは、見逃さなかった。
「兄上に、何かしようとした者がいたのですか?」
「いえ、その・・私の兄は、少し問題のある者でして」
アルモナス王がもごもごと呟く。
「少し、御子にちょっかいを・・」
「兄上に?」
ロリアが許しがたいという様に唸った。
「許せない!私の兄上に、手を出そうとするなんて!」
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