王のβ~異世界後宮物語~

トモモト ヨシユキ

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4 魔王の国

4-6 ザナドクス

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                  4ー6    ザナドクス

    ザナドクスの町にある国境の砦に到着した俺たちは、窓のない、狭苦しい部屋へと通された。
    その椅子が2つ置かれただけの部屋で、俺たちは、ずいぶんと長い時間待たされていた。
    俺は、ドアに耳をつけて外の様子をうかがったが、物音1つ聞こえなかった。
   ドアを開けようとすると、鍵がかかっていて開かない。
    どういうこと?
    俺は、ドアを叩いた。
   「誰か!」
    しばらくドアを叩いたりして騒いでいると、足音がきこえて、カチャッと鍵があけられ、ドアが開かれた。
    現れたのは、アルテミアさんだった。
   俺は、怖い顔をして立っているアルテミアさんをじっと見つめていた。
   「セイ様」
     アルテミアさんが俺の手を掴まえて外へと俺を連れ出した。
    ラウスが慌てて俺の後を追うがアルテミアさんは、扉を閉めて鍵をかけてしまった。
   「セイ様!」
     ラウスがどんどん、とドアを叩きながら俺の名を呼んだけれど、アルテミアさんは、気に求める様子もなく、俺の手を掴んだまま歩きだした。
    アルテミアさんは、黙ったまま俺の手を引いて歩き続ける。
   俺は、掴まれた腕が痛かったが、どうすることもできずにただ歩き続けた。
     俺たちは、地下へと続く階段を降りていった。
     そこには、いくつかの牢が並んでいて、その前に兵士が数人警備のためにか立っていた。
    「王は?」
     アルテミアさんは、兵士たちに訊ねた。兵士たちの内の1人がアルテミアさんの問いに答えた。
    「客人の牢の方におられます」
     「わかった」
      アルテミアさんは、俺の手を掴んだまま奥の光の漏れている牢の方へと向かった。
    俺は、何が起こっているのかわからず、不安に怯えていた。
    アルテミアさんは、牢へと向かう途中で立ち止まると、俺の肩を抱き寄せ、耳元で囁いた。
   「心配しなくても大丈夫です、セイ様」
    俺は、アルテミアさんを見上げた。
    「あなたのことは私が守ります」
     アルテミアさんの手が俺の手を包み込んだ。その手の暖かさに、俺の不安は、少しだけましになっていった。
    「こちらへ」
    アルテミアさんは、俺の手をひいて案内した。
    
   
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