王のβ~異世界後宮物語~

トモモト ヨシユキ

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3 後宮の薬師は、王に恋するか?

3-5 深夜の来訪

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            3ー5    深夜の来訪

    1人で部屋にこもって、俺は、本を読んでいた。
    だが、昼間のことを思い出してしまって、集中できずにいた。
    『主は、王のことを愛しているのか?』
    唐突にイェイガーにきかれて、俺は、驚いて飛び上がった。
    『どうした?』
    「いや、なんでもない」
    俺は、深呼吸をした。
    「なんだって?」
    『王を愛しているのか、ときいた』
    「そんなまさか!」
    俺は、わざとらしく笑って見せた。
    「あいつは、ただの金づるだよ。金づる」
    『そうなのか?』
    イェイガーが俺に問いかけた。
    『昼間にあったときのことといい、今といい、てっきり、主は、王のことを愛しているのだとばかり思っておったのだが』
    「そんなわけがないだろう?」
    俺は、断言した。
   「俺とあいつの間にそんな感情はないよ」
    『しかし』
    イェイガーは、俺になおも言った。
   『主が本気でなくとも、向こうは、本気やも知れぬぞ』
     「じょ、冗談だろ?」
     俺は、かぁっと頬が火照った。
   「王が俺みたいな手合いに本気になるわけがない。年増のベータになんて。それに・・」
    ダメな理由は、いくらだってあげられる。
   俺は、『無印の者』で、親にも捨てられた孤児で、男娼で・・とにかく、あいつが俺なんかに本気になるわけがない。
    イェイガーは、俺の主張を静かに聞いていたが、やがて、言葉を発した。
   『主には、自分のことがまったく見えてはおらぬ様だな』
    はい?
   『あまり、現実から目をそらしすぎると幸せにはなれんぞ』
    「ああ?」
     俺は、イェイガーに低い声で言った。
   「これ以上、ばかなことを言うなら、お前なんか、捨てちまうぞ!」
    イェイガーは、ぴたりと黙ってしまった。
   俺は、その後も、集中できずにいた。
   もうそろそろ本を置いて、休もう。
   そう思っていたときのことだ。
   突然、王の来訪を告げる鈴の音が鳴り響いた。
   ええっ?
   こんな夜更けに?
   俺は、 戸惑っていた。
   寝室の扉が開いて、ラウスとクレイが飛び込んできた。
   「はやくご用意を!セイ様!」
    「でも、俺が呼ばれるとは限らないし」
    俺がそっぽを向いていると、2人が声を揃えた。
   「あなた以外のどなたにお声がかかるというんです?」
   はい?
   俺は、2人に寝室から無理矢理連れ出された。2人は、俺が拒む間もなく、服を脱がせると風呂場で沐浴させた。
    そして、俺の全身にオイルを塗り込めていく。
    もちろん、あそこにも、だ。
    「しっかりしめてくださいね、セイ様」
     「な、何、言って」
     俺は、後孔へとオイルを流し込めれて思わず、そこを食い閉める。
    2人は、裸の俺にさらさらの薄い透けた布を巻き付ける。
   さすがの俺も、羞恥心を覚えずにはいられないような衣装だ。
   「これ、やり過ぎじゃ?」
    「やり過ぎですって?」
    クレイが含み笑いをする。
    「この衣装を望まれたのは、王その人ですよ、セイ様」
   マジですか?
   
    
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