王のβ~異世界後宮物語~

トモモト ヨシユキ

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2 聖剣が指南する後宮生活

2-12 薬師を目指そう!

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            2ー12    薬師を目指そう!

     イェイリからの貢ぎ物を受け取った後、俺は、人払いをして1人、寝室にこもっていた。
    イェイガーと話があったのだ。
    『よいか、主よ』
    イェイガーは、俺に語り出した。
    『ここは、娼妓の戦場よ。主は、ここの将の1人なのだよ。そして、我は、その軍師よ。ともに戦い、この戦場を勝ち抜くのじゃ。主の目的のためにな』
     「俺の目的・・」
     『そうじゃ』
     イェイガーは、俺を諭すように続けた。
    『主は、手に職をつけて、いづれここを出ていくのであろう?ならば、そのためにも戦い抜こうではないか』
    こういう戦いもあるのか?
   俺は、イェイガーを握りしめて頷いた。
  「ああ。よろしく頼むよ、イェイガー」
    『了解した。ところで、主よ』
     イェイガーは、話を変えてきた。
    『主は、確かに「無印の者」なのか?』
     「ああ」
      俺は、答えた。
     「そうだよ」
     『それにしては、ステイタスが高いな。スキルも持っているようだし』
    イェイガーは、俺にきいてきた。
    『主は、魔族の者なのか?』
     「はい?」
      俺は、驚いていた。
     「俺は、ただの人間だって。魔族なんかじゃねぇし」
      『そうか・・』
       イェイガーは、何か考え込んでいるようだった。
     『確かに、魔族には、光の魔法は使えぬしな。我の勘違いか』
     「なんで、また、そんなことを」
      俺がイェイガーに訊ねると、イェイガーは、答えた。
    『主の魔力量の多さは、尋常ではない。それこそ、魔王クラスの魔力量といえる』
    はい?
    俺は、イェイガーの言葉に驚きを隠せなかった。
    俺が?
    魔力量が多いって?
    「そういえば、エドが」
     俺は、呟いた。
     「昔、俺を育ててくれた人が言ってたんだ。俺は、もしかしたら魔導師になれる素質があるかもって」
      『ならば、話が早い。主が目指すのは、魔導師でよいのではないか?』
    イェイガーの言葉に俺は、ぶんぶんと頭を振った。
   「俺、そういうの苦手なんだよ。戦いとか、無理!」
    『そうか。ならば、薬師はどうじゃ?』
     イェイガーが俺に提案した。
     『薬師ならば、癒しの力を持つ主にはうってつけの職ではないか?』
     「薬師か」
     俺は、頷いた。
      「それで、お願いします」
      こうして、俺たちの目標は、決まったのだった。
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