14 / 86
2 聖剣が指南する後宮生活
2-2 口づけ
しおりを挟む
2ー2 口づけ
「何をしている?」
誰かが歩いてくる足音が聞こえて、俺は、顔をあげた。
「なぜ、泣いている?」
そいつは、銀の髪に緑の瞳をした若い男だった。
この後宮では、他にないぐらいくつろいだ格好をしている。
白いシャツに黒いズボンというくつろいだ姿のその男は、俺をその深い緑の瞳でじっと見つめた。
俺は、なんだか恥ずかしくって、顔をそむけた。
「泣いてなんか・・」
俺の頬は、いつの間にか涙に濡れていて、俺は、慌てて手の項で涙の跡を拭おうとした。
が、その男が俺の手を掴んだ。
「・・離せっ!」
「もっと、よく見せろ」
はい?
男は、俺の目を覗き込んだ。
「本当に真っ黒な瞳をしているんだな。あの夜は、気がつかなかったが、美しい瞳だ」
「あの夜?」
俺は、そいつのことをじっと見つめた。
「ああっ!」
俺は、声をあげた。
「あの時の童貞野郎か?」
「誰が、童貞だ」
若い男は、頬を微かに染めた。
「もう、初めてじゃないぞ」
「ああ?」
俺は、にやっと笑った。
「1度やったぐらいで、偉そうに」
「あれから、少しばかり閨房の術について学んだ」
男は、俺の顎に手をあて俺に上を向かせると俺の頬の涙の跡を舌で舐めとった。
「んっ・・やっ!」
「試してみるか?セイ」
男は、俺の返事を待たずに俺を抱き上げると寝室へと運んでいった。
「お、下ろせ!」
「じっとしていろ」
男は、俺に命じた。
「落ちるとあぶない」
男は、俺をベッドの端に座らせると、俺にキスしてきた。
「んふっ・・」
始めは、啄むようなキスだったが、だんだん深まっていき、しまいには、俺は、口中を舌で掻き回されていた。
俺は、必死で男の口付けに応えようとしたけど、気持ちよさに意識が飛びそうで涙が出てきた。
「んぅっ・・はぁっ・・」
男は、しばらく俺を貪り続けた。
俺の口許は、涎まみれになり、それが首もとまでも滴り落ちていった。
客の中には、こういうのを好む者もいたが、たいていは、男娼とキスなんてしない。
ぼうっとなっている俺から唇を離すと、男は、俺の耳元で囁いた。
「舌を出して」
「んっ・・」
俺は、無意識に男の言葉に従っていた。
男は、俺の舌を吸い、甘く噛んだ。
「ふぁっ・・んっ・・」
俺が涙と涎でぐちゃぐちゃになる頃、やっと男は、俺を解放した。
男は、耳に舌を這わせると、低い声で言った。
「もう立ってるぞ、セイ」
「!」
俺は、自分の股間が膨らみを持っていることに気づいて、頬が熱くなるのを感じた。
「こんなこと・・」
「何をしている?」
誰かが歩いてくる足音が聞こえて、俺は、顔をあげた。
「なぜ、泣いている?」
そいつは、銀の髪に緑の瞳をした若い男だった。
この後宮では、他にないぐらいくつろいだ格好をしている。
白いシャツに黒いズボンというくつろいだ姿のその男は、俺をその深い緑の瞳でじっと見つめた。
俺は、なんだか恥ずかしくって、顔をそむけた。
「泣いてなんか・・」
俺の頬は、いつの間にか涙に濡れていて、俺は、慌てて手の項で涙の跡を拭おうとした。
が、その男が俺の手を掴んだ。
「・・離せっ!」
「もっと、よく見せろ」
はい?
男は、俺の目を覗き込んだ。
「本当に真っ黒な瞳をしているんだな。あの夜は、気がつかなかったが、美しい瞳だ」
「あの夜?」
俺は、そいつのことをじっと見つめた。
「ああっ!」
俺は、声をあげた。
「あの時の童貞野郎か?」
「誰が、童貞だ」
若い男は、頬を微かに染めた。
「もう、初めてじゃないぞ」
「ああ?」
俺は、にやっと笑った。
「1度やったぐらいで、偉そうに」
「あれから、少しばかり閨房の術について学んだ」
男は、俺の顎に手をあて俺に上を向かせると俺の頬の涙の跡を舌で舐めとった。
「んっ・・やっ!」
「試してみるか?セイ」
男は、俺の返事を待たずに俺を抱き上げると寝室へと運んでいった。
「お、下ろせ!」
「じっとしていろ」
男は、俺に命じた。
「落ちるとあぶない」
男は、俺をベッドの端に座らせると、俺にキスしてきた。
「んふっ・・」
始めは、啄むようなキスだったが、だんだん深まっていき、しまいには、俺は、口中を舌で掻き回されていた。
俺は、必死で男の口付けに応えようとしたけど、気持ちよさに意識が飛びそうで涙が出てきた。
「んぅっ・・はぁっ・・」
男は、しばらく俺を貪り続けた。
俺の口許は、涎まみれになり、それが首もとまでも滴り落ちていった。
客の中には、こういうのを好む者もいたが、たいていは、男娼とキスなんてしない。
ぼうっとなっている俺から唇を離すと、男は、俺の耳元で囁いた。
「舌を出して」
「んっ・・」
俺は、無意識に男の言葉に従っていた。
男は、俺の舌を吸い、甘く噛んだ。
「ふぁっ・・んっ・・」
俺が涙と涎でぐちゃぐちゃになる頃、やっと男は、俺を解放した。
男は、耳に舌を這わせると、低い声で言った。
「もう立ってるぞ、セイ」
「!」
俺は、自分の股間が膨らみを持っていることに気づいて、頬が熱くなるのを感じた。
「こんなこと・・」
17
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。

オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
零れる
午後野つばな
BL
やさしく触れられて、泣きたくなったーー
あらすじ
十代の頃に両親を事故で亡くしたアオは、たったひとりで弟を育てていた。そんなある日、アオの前にひとりの男が現れてーー。
オメガに生まれたことを憎むアオと、“運命のつがい”の存在自体を否定するシオン。互いの存在を否定しながらも、惹かれ合うふたりは……。 運命とは、つがいとは何なのか。
★リバ描写があります。苦手なかたはご注意ください。
★オメガバースです。
★思わずハッと息を呑んでしまうほど美しいイラストはshivaさん(@kiringo69)に描いていただきました。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
オメガバース 悲しい運命なら僕はいらない
潮 雨花
BL
魂の番に捨てられたオメガの氷見華月は、魂の番と死別した幼馴染でアルファの如月帝一と共に暮らしている。
いずれはこの人の番になるのだろう……華月はそう思っていた。
そんなある日、帝一の弟であり華月を捨てたアルファ・如月皇司の婚約が知らされる。
一度は想い合っていた皇司の婚約に、華月は――。
たとえ想い合っていても、魂の番であったとしても、それは悲しい運命の始まりかもしれない。
アルファで茶道の家元の次期当主と、オメガで華道の家元で蔑まれてきた青年の、切ないブルジョア・ラブ・ストーリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる