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13 聖女の行進

13ー9 コガモ

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 13ー9 コガモ

 聖女が『ヴェータ』沼にきてから変化したことがいくつかあった。
 それは、『ヴェータ』沼の扱いだった。
 いままでは王都から腫れ物扱いされてきた『ヴェータ』沼だったが、聖女たちがきたことで王国も認めざるを得なくなり、正式に奇跡の地とされることになった。
 それにより『ヴェータ』沼に近寄ろうとしなかった人々もここを訪れるようになり『ヴェータ』沼は、観光客やらなんやらで賑わうようになった。
 この『ヴェータ』沼自体の観光客もいれば、聖女の診療所が目的の人々もいた。
 また、聖女に使える神殿の神官たちまで移り住んできたし!
 なんか、ちょっと複雑。
 アルム神官長がエリクさんにお願いして『聖女の診療所』の隣にあった野良クルの木に神殿の分室が作られた。
 アルム神官長が赴任し、デミルさんたちもここを拠点として活動を始めた。
 神官たちの活動は、主に『聖女の診療所』のお手伝いだった。
 あとは、なぜか、私の身の回りの世話とか。
 そんなことは、必要ないといっているがなぜか、デミルさんを筆頭とした数名の神官たちがエリクさん家に住み込んで私の世話を焼こうとする。
 辟易していたのだが、彼らにうるうるした目で見つめられると出ていけともいえなくて、仕方ないので魔道具開発の手伝いとかしてもらっている。
 もともと魔法の素地のある連中なのでなかなか役にたつのだ。
 私は、エリクさんたちと話し合い、エリクさん家の近所にはえていた野良クルの木に趣味の魔道具研究所を移すことにした。
 そこにも看板を上げることになった。
 ほんと、みんな看板が好きだな!
 私の意向で看板は、『魔道具屋』となったが、デミルさんたちは、どうしても『聖女の』あるいは、『大聖女の』とかつけたがったので、私は、全力でそれを拒否した。
 私は、そこで広い『ヴェータ』沼を移動するのに小回りがきく船を開発したりした。
 小さい船というよりは、小型の水上バイク的なもので、安全のためにあまりスピードはでない。
 子供でも乗れるし、なかなか便利がいい。
 『コガモ』と名付けられたそれは、瞬く間に『ヴェータ』沼の人々に広まっていった。
 
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