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13 聖女の行進

13ー8 聖女の診療所

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 13ー8 聖女の診療所

 『ヴェータ』沼に聖女がきてはや1ヶ月。
 聖女たちは、のびのびと暮らしていた。
 とはいえ、彼女らは、神殿でそれなりに厳しい修行を積んでいた者たちだ。
 早朝に起き出し、玄関の下にあるデッキに降りていくとそこで『ヴェータ』沼の水で身を清めることから彼女らの1日は始める。
 そして、朝食をすませると彼女らは、それぞれ部屋にこもり己の力を高めるために瞑想などしているようだった。
 もう、辛気臭いったらありゃしない!
 私は、聖女たちに告げた。
 「ここで暮らすなら、何か、役に立たないと。役に立たない者を置いとくことはできない」
 すると、彼女らは、それぞれの力を使い、ちょっとした診療所のような場所を作りたいと言ってきた。
 私は、エリクさんやノマさん、ルシアさんと相談し、『ヴェータ』沼の中央辺りにはえていた野良クルの木に聖女の診療所を作ることにした。
 もともとその野良クルの木には、けっこう大きなツリーハウスができていたのでそこを整備して聖女たちの仕事場にしてやる。
 ノマさんに頼んで大きな看板を出した。
 『聖女の診療所』
 芸がないな。
 そのままだし。
 しかし、聖女たちは、それでもいいと思っているようで誰も文句を言う者はいなかった。
 ともかくこれで『ヴェータ』沼にも病院ができたわけだ。
 聖女たちには、それぞれ得意とする魔法があり、彼女らは、それを活用し外科やら内科やらにわけて診療していた。
 その中に、ミアの成長内科があった。
 この世界には、魔力の関係で時々、成長が送れたり、逆に進んでしまったりする人がいる。
 ミアは、それを治療していた。
 私は、そこでミアの治療を受けることにした。
 通いだしてしばらくしてミアに告げられた。
 「ユイ様の状態は、私の力ではどうすることもできないかもしれません」
 なんですと?
 私がどういうことか問いただすと、ミアは、説明した。
 「ユイ様にかけられた魔法は、私より上位の者による魔法です。だから、私では、それを解くことはできません」
 ミアは、申し訳なさげに話した。
 「ですが、少しだけなら成長を速めることはできるかもしれません」
 そうなの?
 私の脳裏にあのときのぼんやりとした何かのことを思い浮かべていた。
 あれか。
 私は、ぎりっと歯軋りした。
 あれのやることならしょうがない?
 実に腹立たしい!
 しかし、私にもどうにもならないことがある。
 そして、あれは、その1つだった。
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