スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

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13 聖女の行進

13ー3 あれやこれや

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 13ー3 あれやこれや

 食堂に残っている聖女たちは、落ち着きなくざわついていた。
 中には、ちらちらと私の方をうかがっている者もいた。
 私は、どうやって先日の『ヴェータ』沼襲撃の犯人を突き止めたらいいかと頭を悩ませていた。
 たぶん、犯人は、複数いる。
 1人の聖女だけの力であんなことができる筈がない。
 でも、私がきいてもきっと正直に白状するわけがないし。
 私が頭を悩ませている様子にデミルさんがそっと話しかけてきた。
 「どうしました?ユイ様」
 私は、最初、デミルさんに話すつもりはなかった。どうせ、デミルさんなど役にはたたない。それどころか、空が落ちてくるのを防いだんですかぁ?すごいですねっ!とか言い出しそう。
 それは、私1人の力じゃないし。
 『ヴェータ』沼の精霊さんたちの力がなければ防ぐことはできなかった。
 「なんでもない」
 私が言うとデミルさんは、しつこく訊ねてきた。
 「いや。私には、わかります。あなたは、何かに悩んでいる。そうでしょ?」
 確かに、私は悩んでいるが、それをきいたからとてデミルさんに何ができるというのか。
 それでもデミルさんは、諦めなかった。
 「なんでも言ってください!力になりますから!」
 「じゃあ」
 私は、根負けしてしまった。私は、そこでみんなにも聞こえるようにデミルさんに伝えた。
 「先日、『ヴェータ』沼に空が落ちてきて。精霊の力も借りてなんとかなったんだけど、私も3日も寝込んじゃったんだ」
 私の言葉に食堂の中がしん、と静まり返った。私は、みなに聞こえる世にデミルさんに訊ねた。
 「そのときの犯人がこの中にいるんだけど、どうしたらいいかな、と思って悩んでるんだ」
 「はい?」
 デミルさんがわかりやすく青ざめると私にそっときいた。
 「ちなみに、その犯人がわかったらどうされるつもりなんですか?」
 「そうだなぁ・・」
 私は、にかっと笑った。
 「とにかく、この世界でも誰も悪夢にも見ないような酷い目に会わせてから『ヴェータ』沼の領主に引き渡すかな」
 聖女たちがざわっとなったのを確認して私は、付け加えた。
 「そうそう、ここで暮らしている聖女様たちは、知らないだろうけど『ヴェータ』沼の領主って言うとこの国の闇の住人たちのボスで裏社会の連中を取り仕切ってるちょっと怖い人なんだけど」
 私は、なんだか面白くなってきてあることないこと話していた。
 「きっと犯人は、知らないうちに拐われてどこかの変態に売り飛ばされて死んだ方がいいようなことをあれやこれやされちゃうんだろうね」
 
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