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12 聖女の神殿は、伏魔殿?

12ー8 私たちの婚約

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 12ー8 私たちの婚約

 私は、なぞのイケメンにぎゅうぎゅう抱き締められて困惑中だった。
 けっこう筋肉質なそのイケメンお兄さんは、私を息が苦しくなるぐらい抱き締めていた。
 私は、腕を背中に回してポンポンと背中を叩いた。
 ギブだ。
 早く離して欲しい。
 しかし。
 さすがイケメン。いい匂いがする。こんないい匂いは、エリクさん以来だな!
 私は、抱き締められたままくんかくんか、と鼻をひくつかせる。すると、イケメンお兄さんは、くすくすと私の耳元で笑った。
 「ユイは、相変わらずだな」
 イケメンお兄さんが私を少し離して見下ろした。
 うん。
 エリクさんと同じぐらい美形。エリクさんと同じくらい胸板が広い。エリクさんと同じぐらいいい匂いがするし、エリクさんと同じぐらい抱かれて安心感がある。
 私をキラキラした瞳で見つめているイケメンお兄さんをじっと見つめ返すと私は、訊ねた。
 「失礼ですけど、前にお会いしたことがありましたっけ?」
 イケメンお兄さんは、すごく複雑な顔をした。傷ついたような、悲しんでいるような、複雑な表情に私の胸は痛んだ。
 アルム神官長が咳払いをした。
 「ライアット様」
 アルム神官長に名を呼ばれたイケメンお兄さんは、はっとして慌てて私を離す。まるで、すごく熱いものを触ってしまって火傷しそうになったときみたいに。
 私がぼぅっとしているとイケメンお兄さん、こと、ライアットさんが申し訳なさげに私に向かって小声で告げた。
 「すまない、ユイ。アルム神官長からはきいていたんだが、君の姿を見ると高まる気持ちを押さえることができなかった」
 私は、内心は、悪い気はしなかったのでライアットさんからの謝罪を素直に受け入れた。
 「大丈夫です。ってか、役得?こっちがありがとうございます!」
 ライアットさんがふはっと吹き出した。
 「ユイは、相変わらず面白いな」
 面白い?
 なんだか、面白さの基準が不明だな。
 私が面白いなららっきょうが転んでも面白かろう。
 私がそう思っているとライアットさんがふふっと笑った。
 「ともあれ、これでユイも戻ってきたことだし、私たちの婚約もすすめてもいいかな?」
 はい?
 私たちの婚約ですと?
 
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