スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

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12 聖女の神殿は、伏魔殿?

12ー5 ちょっとだけだけど。

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 12ー5 ちょっとだけだけど。

 「夕方か・・」
 その場に居合わせたエリクさんが難色を示す。
 それはそうだろう。
 この世界では、夜は、ほぼほぼ真っ暗で王都以外では、といってもこの『ヴェータ』沼辺りのことしか知らないが、みんな、夜はうろうろしない。
 だって、どんなに安全なところであっても油断はできないからな。
 魔物もいるし!
 この『ヴェータ』沼にさえ、でかいイルカみたいな魔物がいるし!
 まあ、この魔物は、人に悪さなんてほとんどしないけど。それでも気をつけるにこしたことはない。
 王都のすぐ側とはいえ、暗くなればあまり外出したくはない。
 エリクさんは、デミルさんに話した。
 「夕方に出発するのはいただけないな」
 そうだろう、そうだろう。
 私がうん、うん、頷いてると、エリクさんが告げた。
 「夕方に出るなら、もう少し早く出た方がいい」
 ええっ?
 そうなんですか?
 エリクさんの余計な一言のせいで、出発が早まった。
 私は、ルシアさんとレンドールさんに手伝ってもらって急いで出掛ける準備をした。
 といっても近所にちょっとお泊まりするだけだし。
 長居しても数日だ。
 レンドールさんがどこからか出してきたトランクに私とルシアさんで2、3日分の着替えとかを入れていった。
 ヘイは、今回は、お留守番してもらうことにする。だって、聖獣とか連れていきたくないし!
 どうせ、知られていることとはいえ、実際目にするのとしないのとでは、雲泥の差がある。
 ヘイには悪いが、ここは、噂には出るが、目撃はされたことがない。某ネス湖の怪獣のような存在でいてもらいたい。
 つうか、ネス湖の奴は、いなかったんだけど。
 真面目で仕事の速いルシアさんとレンドールさんのおかげでさくさくと準備は整い、私は、デミルさんと王都の聖女の神殿へと向かうことになった。
 なぜか、エリクさんもついてくることになった。
 エリクさんは、もと王太子。
 あまり王都には、いい思い出がないようだし別に来なくても、と言いかけて口をつぐむ。
 なんにせよ、エリクさんが来てくれるのは正直心強い。
 これから行く聖女の神殿は、かつて私が暗殺されそうになった場所だし。
 危険だから1人で行くつもりだったけど、エリクさんが一緒なら安心する。
 まあ、ちょっとだけだけど。
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