スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する～もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます～

11 ダンジョンにて

11ー10 わたしをここから出して！

　１１ー１０　わたしをここから出して！

　「ところで番人のことだが」
　キンドさんが話し出した。
　「さっきの竜の死骸がそうだったんだろ？なら、もう、ダンジョンの攻略は終わったんじゃないのか？」
　キンドさんに言われて私は、ノマさんとクーノを見た。２人も少し興味を持っているようだ。
　「あの骨は、このダンジョンの番人じゃないよ」
　私がお茶を飲みながらなにげに言うと、キンドさんが信じられないというように声を大きくした。
　「そんなバカな！」
　「さっきの骨は、確かにダンジョンコアを持っていたけど、番人じゃない。番人は、他にいる」
　私がさっきルキエルにいわれたことを話すとキンドさんが絡んでくる。
　「何を根拠にそんなことを言うんだ？」
　「だって、天使がそう言うから」
　私が言うとキンドさんがふん、と鼻で笑った。
　「お前の天使がこのダンジョンの何を知ってるって言うんだ？」
　私は、キンドさんの態度にムカついたのでそっと席を外してクーノたちが作ってくれたテントへと向かった。
　「もう、寝る。おやすみ。ノマさん、クーノも」
　私がそういうとヘイがしゅしゅしゅっと縮んで走りよってきた。私は、ヘイと２人でテントの中に用意してあった毛布にくるまり横になった。
　おやすみ、ルキエル
　私は、目を閉じた。
　テントの外では、キンドさんがノマさんとクーノに絡んでいる声がきこえていたけど私は、もう、眠くて。
　さっき、力を使ったから？
　私は、沼に引き込まれるように眠りに落ちていった。
　
　眠っているとき、誰かの声がきこえたような気がした。
　それは、小さな声だった。
　私を呼んでいる声。
　ここから、出して
　それは、私に切々と訴えた。
　この声に私は、問いかけた。
　どこにいるの？
　わたしは・・
　その声が告げるが私には、聞き取れない。
　お願い、もう、時間がないの
　その声が告げる。
　はやくしないと彼が来てしまう。
　彼？
　私は、問いかけた。
　だが、その声は、私の問いかけには答えなかった。
　はやく。
　はやく、わたしをここから出して。
　その声は、ただそう繰り返す。
　わたしをここから出して！