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11 ダンジョンにて

11ー9 お茶でも飲みなよ。

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 11ー9 お茶でも飲みなよ。

 骨の恐竜もどきは、浄化によって崩れ消え去った。
 「なんだ、これ?」
 ノマさんが骨の恐竜もどきがいた辺りに落ちていた玉を拾って私に差し出す。
 拳ぐらいの大きさの丸い赤い玉でパッと見魔石かな?って感じだ。
 「魔石かな?」
 私が呟くと耳元でルキエルが囁いた。
 『これは、魔石ではありません。おそらくこのダンジョンのコアでしょう』
 はい?
 ダンジョンコアがこんなところに転がってるもんなんですか?
 『あの死霊化したレッドドラゴンが持っていたのでしょう』
 「じゃあ、あれがこのダンジョンの番人なのかな?」
 私が小声でぶつぶつ言うとルキエルが答えた。
 『いえ、番人は、たぶん別にいます』
 マジで?
 ボスキャライコール番人じゃないの?
 「なら、番人は・・?」
 私がぼそぼそ言ってるとキンドさんがじとっと見つめてふん、と鼻を鳴らした。
 「何、ぶつぶつ言ってるんだ?ユイ」
 「ぶつぶつって・・天使と話してるんだよ!」
 私が答えるとキンドさんがふっとバカにするように笑った。
 「天使か。噂じゃ、お前の天使は、でき損ないらしいじゃないか」
 「そんなことは、ないよ!」
 私は、キンドさんに力説した。
 「確かにルキエルは、使いにくい奴だけど、いろいろ物知りだし!それに、前に命を助けてくれたらしいし!」
 「らしいって・・そんなあやふやな」
 キンドさんがしつこく絡んでくるから私は、ふいっとそっぽを向くとノマさんとクーノのそばにいき、腰を下ろした。2人は、食事の後のお茶を用意していたので、私は、お茶を入れるカップを鞄から出した。
 ヘイは、まだ器に残ったスープをぴちゃぴちゃ舐めていた。苦手だけど嫌いじゃないらしい。
 お湯がわくと小さなポットにお湯を注ぎお茶を蒸らす。しばらくして私は、ノマさんとクーノと自分の分のカップにお茶を注いだ。
 私たちは、無言でお茶を飲んでいた。
 背後でキンドさんがどたどたと足踏みする。
 「お前ら!私を誰だと思っている?」
 「キンドだろ?」
 ノマさんが答えるとキンドさんが噛みつく。
 「お前らの領主である私をよくそこまでないがしろにできるな!」
 なんだ?
 私は、めんどくさっと思いつつカップを出してお茶を入れてそれをキンドさんに差し出した。
 「はい、お茶」
 「ああ」
 キンドさんがお茶のカップを受け取りはぁっとため息をつく。
 「私が言ってるのは、こういうことじゃないんだが・・」
 私は、席を詰めてキンドさんの場所を空けてやる。
 「まあ、座って。お茶でも飲みなよ、キンドさん」
 キンドさんは、無言で私の隣に座るとお茶を啜った。
 
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