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9 恋と聖女とダンジョン攻略
9ー6 お土産ですか?
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9ー6 お土産ですか?
『ヴェータ』沼から王都までは馬車で30分ぐらいだった。私たちは、王都をぐるっと取り囲んだ城壁の門をくぐり王都へと入った。
「へぇっ」
私は、王都の街並みを馬車から眺めていたが、正直、大したことはない。普通の昔の街並みだし。
これなら、『ヴェータ』沼の大通りの方が新鮮だし!
なにしろ湖の上に拡がる街並みだし!
水上都市とまではまだいかないけど、美しい街並みであることは間違いない。
いづれは、きっと水上都市と呼ばれるときがくるに違いない。
しかも、これからは、魔石の産地としても有名になるだろう。
まあ、そのためにはダンジョンを攻略しなくてはならないのかもしれないが。
「何を考えている?ユイ」
エリクさんに問われて私は、はっと気づいた。
私、ちょっととらぬ狸してたかも!
別に、裕福になったからって贅沢なんてするつもりはない。ただ、王都には、うんと美味しいものがあったりするのかな?
馬車が通りに面した小さなカフェらしき店の前を通りかかったとき、甘い香りが漂ってきた。
そういえば、『ヴェータ』沼に堕ちてからおしゃれなスウィーツとか食べてないかも。
毎日、生きることで精一杯だったし、甘いものなんてクルの実のジャムぐらいしかなかったし。
第一、砂糖がなかったから!
甘い匂いに鼻をひくつかせている私を見てエリクさんがくすっと笑った。
「帰りにみなにお土産を買って帰ろうか」
「いいですね!」
そんなことを話している内に馬車は、王都の中心部にある貴族街へと入っていた。そこは、立派なお屋敷が並んだ通りだったが、エリクさんの『ヴェータ』沼のお屋敷みたいに立派な家は、珍しかった。
王都なんてこんなもんか。
私がふん、と鼻を鳴らしたそのとき、一段と立派なお屋敷が目に飛び込んできた。
その屋敷は、ぐるっと周囲を頑健な塀で囲まれて貴族街の中央に建っていた。
赤いレンガ造りの屋敷で屋敷というよりちょっとしたお城みたいだった。
どんな人が住んでるのかな。
私がそう思ったとき、門が開いて馬車が中へと入っていった。
ええっ?
なんで、ここに入っていくんですか?
私が問いかけるようにエリクさんを見るとエリクさんが答えた。
「ここは、キンドの屋敷だ」
マジですか?
『ヴェータ』沼から王都までは馬車で30分ぐらいだった。私たちは、王都をぐるっと取り囲んだ城壁の門をくぐり王都へと入った。
「へぇっ」
私は、王都の街並みを馬車から眺めていたが、正直、大したことはない。普通の昔の街並みだし。
これなら、『ヴェータ』沼の大通りの方が新鮮だし!
なにしろ湖の上に拡がる街並みだし!
水上都市とまではまだいかないけど、美しい街並みであることは間違いない。
いづれは、きっと水上都市と呼ばれるときがくるに違いない。
しかも、これからは、魔石の産地としても有名になるだろう。
まあ、そのためにはダンジョンを攻略しなくてはならないのかもしれないが。
「何を考えている?ユイ」
エリクさんに問われて私は、はっと気づいた。
私、ちょっととらぬ狸してたかも!
別に、裕福になったからって贅沢なんてするつもりはない。ただ、王都には、うんと美味しいものがあったりするのかな?
馬車が通りに面した小さなカフェらしき店の前を通りかかったとき、甘い香りが漂ってきた。
そういえば、『ヴェータ』沼に堕ちてからおしゃれなスウィーツとか食べてないかも。
毎日、生きることで精一杯だったし、甘いものなんてクルの実のジャムぐらいしかなかったし。
第一、砂糖がなかったから!
甘い匂いに鼻をひくつかせている私を見てエリクさんがくすっと笑った。
「帰りにみなにお土産を買って帰ろうか」
「いいですね!」
そんなことを話している内に馬車は、王都の中心部にある貴族街へと入っていた。そこは、立派なお屋敷が並んだ通りだったが、エリクさんの『ヴェータ』沼のお屋敷みたいに立派な家は、珍しかった。
王都なんてこんなもんか。
私がふん、と鼻を鳴らしたそのとき、一段と立派なお屋敷が目に飛び込んできた。
その屋敷は、ぐるっと周囲を頑健な塀で囲まれて貴族街の中央に建っていた。
赤いレンガ造りの屋敷で屋敷というよりちょっとしたお城みたいだった。
どんな人が住んでるのかな。
私がそう思ったとき、門が開いて馬車が中へと入っていった。
ええっ?
なんで、ここに入っていくんですか?
私が問いかけるようにエリクさんを見るとエリクさんが答えた。
「ここは、キンドの屋敷だ」
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