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9 恋と聖女とダンジョン攻略

9ー4 お前になんかなんてない!

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 9ー4 お前になんかなんてない!

 森の船着き場から無事にエリクさん家まで戻った私たちは、夕食をすませるとリビングに集まった。ソファにぐるっとテーブルを囲んで腰かけている私たちにレンドールさんがお茶を配る。
 それぞれが礼をいって受け取りお茶を飲む。
 今夜のお茶は、ルシアさんが森で摘んできた薬草のお茶だった。なんでも心を落ち着かせ安眠できる効果があるとか。
 だが、今夜は、誰も安眠できそうにない。
 だって、明日は、キンドさんが命じている立ち退きの日だし!
 でも、この『ヴェータ』沼の誰も立ち退くつもりはなかった。だって、ここは、今では、貧民窟どころか豊かで美しいとさえいえる場所になっているし。
 食料も、隣国から輸入しているし、産業だっていくつも起こっている。
 この湖の至るところにはえているクルの木は、湖の浄化をしてくれているらしく水も今では、飲用水にできるほどきれい。
 そのうえ、湖底には、魔石の鉱脈がある!
 キンドさんがここをどうするつもりだったのかは、私には、はっきりとはわからないが、今以上に開発することができるだろうか?
 たぶん、無理!
 普通に考えたらキンドさんにとってこの『ヴェータ』沼をこのままにしておく方が絶対にお得だし!
 「明日は、私がキンドと話そう」
 エリクさんが口を開いた。みな、こくこくと頷いている。やはりここは、もと王族のエリクさんに頑張ってもらうしかない。
 「ユイにも同席してもらいたいんだが」
 はいっ?
 私は、エリクさんににこっと微笑んだ。
 「私でお役に立てるなら喜んで!」
 というか、当然?
 エリクさんってちょっと押しが弱いとこがあるし。ここは、私がガンッと言ってやらなくちゃ!
 私とエリクさんで王都にあるキンドさんの屋敷に向かうことになった。
 「留守は、レンドールとノマに頼む」
 エリクさんが2人を見るとノマさんもレンドールさんも頷いた。
 「任せてくれ!あんたたちの留守は、俺たちが守る!」
 ノマさんは、ともかくレンドールさんがいれば大丈夫だろう。
 「私は、クーノと一緒に森の船着き場に行きます。あちらから攻撃される可能性もありますから」
 ルシアさんが言うとエリクさんがちょっと心配そうな顔になる。まあ、妹みたいなもんだしな。とか思っていたら、ルシアさんが涙ぐむ。
 「もしも、私に何かあってもエリク様は、自分の意思を貫いてくださいませ」
 お前に何かなんてないって!
 私は、いらっとしていた。
 だって、船着き場には、神龍族のみなさんがいるし!言ったら、ノマさんたちといるより安心だってば!
 
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