上 下
105 / 170
8 鉱脈を探せ!

8ー13 わかるとも!

しおりを挟む
 8ー13 わかるとも!

 「紹介します、ユイ様」
 レンドールさんが超巨大竜の鼻先をポンポン、と叩いて私にその竜のことを紹介した。
 「これは、古い友人で古代竜のダルメトといいます。こんなだけどなかなか臆病でいいやつですから怖がらなくてもいですよ」
 そうなんですか?
 私は、デッキにいるレンドールさんたちの側まで恐る恐る近づくとその竜を見上げた。
 「ただいま紹介に預かった、古代竜のダルメトという。聖女様には、ご機嫌麗しく」
 すんごい超低音が響く。もう、話すだけで驚異といえる。
 挨拶もそこそこにダルメトさんは、レンドールさんと私とエリクさんを背中に乗せるとのしのしと湖の中を歩き出した。
 すんごい波立ってる!
 町の方は大丈夫なのかな?
 私たちが進んでいくと一隻の船が近づいてくる。よく見たらそれは、ノマさんとルシアさんだった。
 2人は、揺れる船の上から私たちを見上げて叫んだ。
 「大丈夫なのか?」
 「大丈夫だよっ!」
 私は、ダルメトさんの背中から2人に手を振った。
 「これからちょっと穴を掘ってくるわ!」
 ノマさんとルシアさんがなにやら話しているのが見えるが、かなり距離があるので何を話しているのかは、聞こえない。
 私が耳をすませていると聞きにくかろうと思ったのかダルメトさんがノマさんとルシアさんが乗った船をはむっと噛んで持ち上げてくれた。
 やる方はたいして何も思わなくてもやられる方は、かなりの恐怖だ。
 ノマさんとルシアさんは、青ざめて声もでない様子。
 ダルメトさんは、鋭い牙と頑丈な顎で2人の乗った船を壊さないように気をつけて甘噛みしているんだが、口の端からよだれがダラダラと滝のように滴っているし!
 もう、下ろしてあげて欲しい。
 しかし、ノマさんは、ダルメトさんが2人に敵意がないと見るやすぐにルシアさんを抱き上げてダルメトさんの体に飛び移った。
 そして、ダルメトさんの鱗を伝ってなんとか背中へと上ってくる。
 さすがは、『ヴェータ』沼の何でも屋だな、と感心して見ているとたどり着いた2人が恨めしげに私を見た。
 「この竜もユイが呼んだのか?」
 ノマさんの言葉に私は、頭を振った。
 ほんと、なんでも私の仕業と思わないで欲しいものだ。
 「これは、レンドールさんの友達の竜でダルメトさん」
 私は、2人にダルメトさんを紹介する。ダルメトさんは、私たちを背中に乗せたまま歩きながら2人に挨拶した。
 「古代竜のダルメトだ。よろしく頼む」
 「こ・・古代竜?」
 ノマさんとルシアさんがよろよろっとダルメトさんの背中に座り込んだ。
 「なんじゃ、そりゃ?」
 うん。
 2人の気持ちはよくわかる。
 わかるとも!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

【完結】傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される

中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。 実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。 それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。 ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。 目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。 すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。 抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……? 傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに たっぷり愛され甘やかされるお話。 このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。 修正をしながら順次更新していきます。 また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。 もし御覧頂けた際にはご注意ください。 ※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

処理中です...