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8 鉱脈を探せ!
8ー2 再び昇れ!
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8ー2 再び昇れ!
ただ、ぼっと見ていた私は、はっと我に返った。
いや。
この状況、マジでやばくない?
なんとかしないと。
これって、隕石とかが落ちてきてるってこと?
それにしてはゆっくりだな。
まあ、おかげで考える時間があるわけだけど。
とにかく、私は、スマホの力を使うことにした。
でも、無意識に吸い取れる魔力だけではとても間に合いそうにない。
私は、屋敷へと戻るとエリクさんたちに正直に話した。
「じゃあ、このスマホを通して私たちの魔力がユイの力になるということですか?」
ルシアさんが穏やかに問いただす。私は、肯定した。
「いろいろいいたいこともあるかもだけど、とにかく今は、力を貸して欲しい」
私は、みなに頭を下げた。
きっと、みんな、怒るだろう。
だって、勝手に魔力を吸い取られてたわけだし。
私がうつむいていたら、エリクさんにぽん、と肩を叩かれた。
「みんな、急ごう!」
はい?
私は、エリクさんを見上げた。エリクさんは、いつもと変わらない優しい笑顔で私を見つめていた。
「ユイに協力できるなら、光栄だ。そうだろう?みんな」
エリクさんに問われてノマさんたちも頷いた。
「水くさいな、ユイ」
ノマさんが私に自分のスマホを見せた。
「これに力を注げばいいのか?」
いいながら、魔力を注いでいく。エリクさんたちも。
みんなのスマホがぶん、と振動して私のスマホへと力が集まっていく。
見ていたレンドールさんが私に訊ねる。
「我ら神龍族も協力いたします」
「お願いします!」
私のスマホには、みんなの力が集まってきていた。
青っぽい光りに包まれたスマホを握りしめると私は、再び、外のデッキへと向かった。
スマホを天に掲げる。
空は、いよいよ地上に近づいてきている。
突風が天に向かって吹き上がっていく。私は、飛ばされないように必死に足を踏ん張った。
ルキエルが私の肩にのっているのを感じた。
なんだろう。
この安心感。
まるで、誰かに背後から包み込まれているような気持ち。
私は、天に向かって叫んだ。
「天よ!再び、昇れ!」
ごうっと大気が渦巻き、『ヴェータ』沼の湖面が波立つ。私は、すべての力をスマホに注ぎ込んだ。
ただ、ぼっと見ていた私は、はっと我に返った。
いや。
この状況、マジでやばくない?
なんとかしないと。
これって、隕石とかが落ちてきてるってこと?
それにしてはゆっくりだな。
まあ、おかげで考える時間があるわけだけど。
とにかく、私は、スマホの力を使うことにした。
でも、無意識に吸い取れる魔力だけではとても間に合いそうにない。
私は、屋敷へと戻るとエリクさんたちに正直に話した。
「じゃあ、このスマホを通して私たちの魔力がユイの力になるということですか?」
ルシアさんが穏やかに問いただす。私は、肯定した。
「いろいろいいたいこともあるかもだけど、とにかく今は、力を貸して欲しい」
私は、みなに頭を下げた。
きっと、みんな、怒るだろう。
だって、勝手に魔力を吸い取られてたわけだし。
私がうつむいていたら、エリクさんにぽん、と肩を叩かれた。
「みんな、急ごう!」
はい?
私は、エリクさんを見上げた。エリクさんは、いつもと変わらない優しい笑顔で私を見つめていた。
「ユイに協力できるなら、光栄だ。そうだろう?みんな」
エリクさんに問われてノマさんたちも頷いた。
「水くさいな、ユイ」
ノマさんが私に自分のスマホを見せた。
「これに力を注げばいいのか?」
いいながら、魔力を注いでいく。エリクさんたちも。
みんなのスマホがぶん、と振動して私のスマホへと力が集まっていく。
見ていたレンドールさんが私に訊ねる。
「我ら神龍族も協力いたします」
「お願いします!」
私のスマホには、みんなの力が集まってきていた。
青っぽい光りに包まれたスマホを握りしめると私は、再び、外のデッキへと向かった。
スマホを天に掲げる。
空は、いよいよ地上に近づいてきている。
突風が天に向かって吹き上がっていく。私は、飛ばされないように必死に足を踏ん張った。
ルキエルが私の肩にのっているのを感じた。
なんだろう。
この安心感。
まるで、誰かに背後から包み込まれているような気持ち。
私は、天に向かって叫んだ。
「天よ!再び、昇れ!」
ごうっと大気が渦巻き、『ヴェータ』沼の湖面が波立つ。私は、すべての力をスマホに注ぎ込んだ。
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