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7 大聖女の魔法
7ー3 敵は、すべて駆逐します。
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7ー3 敵は、すべて駆逐します。
キンドさんは、転がらんばかりのよろけっぷりで『ヴェータ』沼から去っていった。
私とエリクさん、それにノマさんとルシアさんは、エリクさんの執務室に集まっていた。
そこにはクルの木製の執務机と立派な椅子、それにソファセットまであった。これは、『ヴェータ』沼の住人である元家具職人というおじさんが作ってくれたものだ。もちろんお礼は、支払ったし、材料や道具も提供した。
私たちは、ソファに座って『ヴェータ』沼の最新の地図を見ていた。
今では、少し小さめだが、1つの領地といえるほどの大きさになっている。 『ヴェータ』沼には、水上に町といってもいいものが出来上がっていた。
沼には、あちこちにクルの木がまるで巨大なマングローブみたいに生い茂っていてそこに人々が家を作って暮らしている。そこここに商店が開かれて生活用品やら食料品やらが売られていた。
もともと『ヴェータ』沼の人口は、200人ちょっとぐらいだったのが今では、500人ぐらいに増えている。
それは、ほとんどが隣国であるラトラニス王国からの移住者であったが、中には、あきらかに人ではないとわかる者たちもいた。
それは、実は、神龍族のみなさんだった。
神龍族は、人化の法で人に変化することができるのだ。
「やはり、王国からの介入は、あるだろうな」
エリクさんが地図を見ながら話した。エリクさんは、王都側の岸辺を指していた。
「この辺りに見張りを置いた方がいいかもしれない」
「王国が攻めてくるでしょうか?」
ルシアさんは、懐疑的だ。
「一応、この『ヴェータ』沼は、まだキンドさんの領地でありみな、キンドさんに税金を納めています。国民である我々を攻撃することがあるでしょうか?」
「おおっぴらに攻撃はしないかもしれないが、なんらかの理由をつけてここに衛士や騎士団を駐留させようとはするだろうな」
エリクさんが腕組みをしてため息をつく。
「やはり民兵を立ち上げるべきかもな」
「それなら我らにお任せを」
ドアが開いてお茶を運んできたレンドールさんと侍女さんが入ってきた。レンドールさんは、よく見ると首元に少し鱗のようなものがあるのがわかる。
「我ら神龍族が聖女に仇なす者は、すべて駆逐いたします」
「それだと戦争になっちゃいますよね?」
それは、なんとか防ぎたい。
「一番いいのは、ここを王国の独立した領地として認めさせることじゃないかな。まあ、そのためには圧倒的な武力の差を見せつけるのもありかもしれないけど」
キンドさんは、転がらんばかりのよろけっぷりで『ヴェータ』沼から去っていった。
私とエリクさん、それにノマさんとルシアさんは、エリクさんの執務室に集まっていた。
そこにはクルの木製の執務机と立派な椅子、それにソファセットまであった。これは、『ヴェータ』沼の住人である元家具職人というおじさんが作ってくれたものだ。もちろんお礼は、支払ったし、材料や道具も提供した。
私たちは、ソファに座って『ヴェータ』沼の最新の地図を見ていた。
今では、少し小さめだが、1つの領地といえるほどの大きさになっている。 『ヴェータ』沼には、水上に町といってもいいものが出来上がっていた。
沼には、あちこちにクルの木がまるで巨大なマングローブみたいに生い茂っていてそこに人々が家を作って暮らしている。そこここに商店が開かれて生活用品やら食料品やらが売られていた。
もともと『ヴェータ』沼の人口は、200人ちょっとぐらいだったのが今では、500人ぐらいに増えている。
それは、ほとんどが隣国であるラトラニス王国からの移住者であったが、中には、あきらかに人ではないとわかる者たちもいた。
それは、実は、神龍族のみなさんだった。
神龍族は、人化の法で人に変化することができるのだ。
「やはり、王国からの介入は、あるだろうな」
エリクさんが地図を見ながら話した。エリクさんは、王都側の岸辺を指していた。
「この辺りに見張りを置いた方がいいかもしれない」
「王国が攻めてくるでしょうか?」
ルシアさんは、懐疑的だ。
「一応、この『ヴェータ』沼は、まだキンドさんの領地でありみな、キンドさんに税金を納めています。国民である我々を攻撃することがあるでしょうか?」
「おおっぴらに攻撃はしないかもしれないが、なんらかの理由をつけてここに衛士や騎士団を駐留させようとはするだろうな」
エリクさんが腕組みをしてため息をつく。
「やはり民兵を立ち上げるべきかもな」
「それなら我らにお任せを」
ドアが開いてお茶を運んできたレンドールさんと侍女さんが入ってきた。レンドールさんは、よく見ると首元に少し鱗のようなものがあるのがわかる。
「我ら神龍族が聖女に仇なす者は、すべて駆逐いたします」
「それだと戦争になっちゃいますよね?」
それは、なんとか防ぎたい。
「一番いいのは、ここを王国の独立した領地として認めさせることじゃないかな。まあ、そのためには圧倒的な武力の差を見せつけるのもありかもしれないけど」
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