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6 交易とか開発とか

6ー12 解決されてるんだ?

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 6ー12 解決されてるんだ?

 解決されてるんだ?
 しかも、外部の異教徒の差し向けた暗殺者だって?
 ほんとなの?
 『違います』
 ルキエルが怒りの滲む声で囁いた。
 『あれは、異教徒を操った者が神殿内にいました。しかも、その者は、天使である私にも正体がつかめない』
 マジか!
 私は、デミルさんに訊ねた。
 「私の天使は、まだその件は片付いてないといってますが?」
 「そうなのですか?」
 デミルさんが不服そうな顔をする。
 「失礼ですが、ユイ様についておられる天使は、少し変わっているのでまったく信用できるとは言いかねます。13番目は、未知の天使ですからね。現に天使の力を使ったせいであなたには、2つも対価が支払わせられているようだし」
 デミルさんがはぁっとため息をつく。
 「記憶を失っただけでなく、そのような幼い姿になられて。私は、とても心配しております。ここは、ぜひ、一度、神殿へとお戻りいただき侍医に体を調べさせなくては」
 「いいえ、その必要はありません」
 私は、デミルさんにきっぱりと告げた。
 「私の天使を悪く言うような人たちのところに私は、戻りたくはありません。それに、暗殺事件のことも。ちゃんと調べて犯人が処分されるまでは、1度も2度もなく戻るつもりはありませんから」
 「しかし!」
 デミルさんが反論する。
 「犯人は、すでに捕えられておりますし、これ以上、調べるなどと言われても」
 「私の天使がそう告げているんです」
 私は、デミルさんににっこりと微笑んだ。
 「こんなところまでご足労いただきましたが、私は、神殿へ戻るつもりはまったくないので」
 「ですが、このようなところに聖女であるユイ様を放置しておくわけにはいきません!」
 デミルさんが語気を強める。
 「こんな薄汚い貧民窟にあなた様を住まわせることは神殿の恥でございますから」
 「恥?」
 私は、訊ねた。
 「この『ヴェータ』沼で暮らすことが恥とは思いませんが。しかし、そう思われるなら、なぜ、もっと早く私を迎えに来なかったのですか?」
 私がここに来たばかりの頃。
 『ヴェータ』沼がほんとにスラムだった頃。
 染み付くようなドブ臭さや、食うや食わずの生活を送る荒んだ人々。誰もがここが地獄だと思っていた頃。
 私は、記憶もなくしてここにやって来たのだ。
 そんな頃に誰1人として私を探しだしてくれる者は、いなかった。
 
 
 
 
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