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6 交易とか開発とか
6ー11 朝からハードモード
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6ー11 朝からハードモード
レンドールさんが作ってくれたおいしい朝食の後、私たちがクルの花のお茶を飲んでいると誰かが扉をノックする音が聞こえた。
レンドールさんが対応してくれたのだが、すぐに戻ってきた。
「王都の聖女の神殿からの使者がきていますが、どういたしますか?」
来たか!?
私は、緊張のあまり飲んでいたお茶でむせて咳き込んだ。ルシアさんが心配そうに背をさすってくれる。
「ありがとう」
ルシアさんに礼をいってから私は、エリクさんをちらっと見た。エリクさんは、私に頷く。
「こちらに通してくれるか?」
「かしこまりました」
レンドールさんが玄関へと引き返して使者を呼びに行った。
私たちは、互いを見回していた。
ついに来るものがきたのだ。
レンドールさんが案内してきた使者を伴って食堂兼リビングへとやってきた。
「使者の方をご案内しました」
使者は、白い神官っぽい服を着た若い男だった。
その銀髪に冷たい青い瞳をした若い男は、私を見て微笑んだ。
「お久しぶりです、ユイ様」
久しぶり?
私の記憶には、このイケメンのことは欠片も残っていなかった。
「すいません。私、記憶喪失らしくって。この世界に来てからの記憶がないんです」
私が答えるとイケメンは、がっくり、というかなんか眉尻を下げてそうですか、と呟く。
「あなたが天使の力で転移した以上、なんらかの対価が払われているであろうことはわかっていましたが。そうですか。記憶が失われたのですか」
レンドールさんは、壁際に置かれていた予備の椅子を持ってきてテーブルの端っこにその神官は、座った。
彼は、デミルと名乗った。
「私は、デミル。デミル・ラソマ。あなた付きの神官です。あなたがこの世界に召喚されて以来、ずっとあなたのお世話をしてきました」
そうなんですか?
私には、まったく彼の記憶はなかったがどうやら彼には、いろいろと私との思い出があるようだ。
デミルさんは、私を見て複雑そうな顔をした。
「あなたは、忘れてしまったのかもしれませんが、今回の聖女召喚では、1人、召喚された聖女の数が多かったため、あらぬ憶測が生まれました」
たぶん、ルキエルがいってたやつだな。
私は、デミルさんに頷いた。
「ルキエルにききました。1人、偽物の聖女が混じっているとか。そして、それが私だとされたそうですね」
「とんでもない!」
デミルさんは、血相を変えて否定した。
「誰も、偽物がいるなどとは言っておりません。まあ、一部の者たちがそのような噂を流していたのは事実ですが、決してユイ様が偽物だとは」
「では、私が暗殺されかけたということも事実無根だとおっしゃるんですか?」
暗殺、ときいてルシアさんたちがざわつく。
ちょっと朝からハードすぎる内容だったかな?
私は、大丈夫、というようにみなに笑顔を見せた。
「それは・・」
デミルさんが口ごもった。
「確かに、外部の反聖女の思想を掲げた異教徒があなたのことを殺そうとしたことはありましたが、それは、もう解決しております」
レンドールさんが作ってくれたおいしい朝食の後、私たちがクルの花のお茶を飲んでいると誰かが扉をノックする音が聞こえた。
レンドールさんが対応してくれたのだが、すぐに戻ってきた。
「王都の聖女の神殿からの使者がきていますが、どういたしますか?」
来たか!?
私は、緊張のあまり飲んでいたお茶でむせて咳き込んだ。ルシアさんが心配そうに背をさすってくれる。
「ありがとう」
ルシアさんに礼をいってから私は、エリクさんをちらっと見た。エリクさんは、私に頷く。
「こちらに通してくれるか?」
「かしこまりました」
レンドールさんが玄関へと引き返して使者を呼びに行った。
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「お久しぶりです、ユイ様」
久しぶり?
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「すいません。私、記憶喪失らしくって。この世界に来てからの記憶がないんです」
私が答えるとイケメンは、がっくり、というかなんか眉尻を下げてそうですか、と呟く。
「あなたが天使の力で転移した以上、なんらかの対価が払われているであろうことはわかっていましたが。そうですか。記憶が失われたのですか」
レンドールさんは、壁際に置かれていた予備の椅子を持ってきてテーブルの端っこにその神官は、座った。
彼は、デミルと名乗った。
「私は、デミル。デミル・ラソマ。あなた付きの神官です。あなたがこの世界に召喚されて以来、ずっとあなたのお世話をしてきました」
そうなんですか?
私には、まったく彼の記憶はなかったがどうやら彼には、いろいろと私との思い出があるようだ。
デミルさんは、私を見て複雑そうな顔をした。
「あなたは、忘れてしまったのかもしれませんが、今回の聖女召喚では、1人、召喚された聖女の数が多かったため、あらぬ憶測が生まれました」
たぶん、ルキエルがいってたやつだな。
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「ルキエルにききました。1人、偽物の聖女が混じっているとか。そして、それが私だとされたそうですね」
「とんでもない!」
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「では、私が暗殺されかけたということも事実無根だとおっしゃるんですか?」
暗殺、ときいてルシアさんたちがざわつく。
ちょっと朝からハードすぎる内容だったかな?
私は、大丈夫、というようにみなに笑顔を見せた。
「それは・・」
デミルさんが口ごもった。
「確かに、外部の反聖女の思想を掲げた異教徒があなたのことを殺そうとしたことはありましたが、それは、もう解決しております」
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