スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する～もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます～

6 交易とか開発とか

6ー7 オフトゥンの誘惑

　６ー７　オフトゥンの誘惑

　翌朝、目覚めると私とルシアさんは、ふかふかのオフトゥンの上に寝ていた。枕もあるし。
　私は、すべてが夢なんじゃないかと思って、もう一度枕に頭をのせて目を閉じた。しかし、それもすぐに終わった。
　「！？」
　唐突に目覚めたらしいルシアさんが驚きのあまり声の出ない悲鳴をあげながら私を揺すぶり起こした。
　「ん・・何？」
　私が目を開くとルシアさんは、目を丸くして私に訴えた。
　「私たち、なんでこんなことに？」
　ルシアさんは、ふかふかのオフトゥンが信じられなかったようでぶつぶつと呟いている。
　「きっと、これは、邪神の誘惑。私を堕落させるための誘惑なのだわ・・」
　「大丈夫だって」
　私は、ルシアさんに事情を説明した。ルシアさんは、黙ってきいていたが、やがて口を開いた。
　「要するにこれは、精霊がやったことだと？」
　ルシアさんは、呆然として私に訊ねた。
　「エリク様の家が立派になったことも？エリク様のあの薬液がほんとの薬になったことも？すべて、精霊のせいなんですか？」
　私は、こくりと頷くとルシアさんに告げた。
　「実は、私は、聖女なんだよ」
　「知っています」
　ルシアさんが今さらというように話した。
　「エリク様があなたは、きっと聖女なのだろうとおっしゃっていました。いや、もしかしたら大聖女かも、と。でも、あまり大きな声で言ってはいけないとも」
　ルシアさんが私から目をそらした。
　「もし、王都の人々に知られたら、もうユイとは一緒にいられなくなるからって」
　マジで？
　私は、不覚にもほろりとなっていた。
　この年上のような年下の少女がかわいくなった。私は、そっとルシアさんを抱き締めた。
　「大丈夫。私は、どこにもいかないから」
　エリクさんのことで憎たらしいとか思うこともあるけど、ルシアさんは、今では、私にとって姉のような存在となっていた。
　いや。
　年下なんだけど。
　私たちは、布団をたたんでベッドの上に片付けると枕元に置かれていた服に着替えた。
　それは、やはり木綿の少しガーリィーな感じのかわいいピンクのワンピースだった。ルシアさんも同じようなデザインのワンピースで色は、ルシアさんの髪の色と同じような藍色だった。
　何？
　この乙女チックな服は。
　精霊さんたち、私のことどう思ってるの？
　美少女ルシアさんは、ともかく、私なんてモブ顔だし。まあ、普通に可愛いとは思ってるけどさ。
　起きていくとノマさんたちもパリッとした服装になっていた。
　白い木綿のシャツに茶色のズボンという姿がなんとも様になっている。さすがは、イケメン兄弟だ。
　最後に起きてきたエリクさんもノマさんたちと同じ服装だった。
　もはや、これは、イケメンの制服といってもいいのでは？
　白いシャツにノマさんたちと違うのは、紺色の細身のズボンだけだった。
　私たちは、レンドールさんが作ってくれた朝食を食べた。
　レンドールさんは、どうやって作ったのかわからないが白いパンとスープと焼いた肉を出してくれた。
　「お茶が飲みたいかも・・」
　ふと漏らした一言にレンドールさんの顔つきが変わった。
　「お任せください！今日中にご用意いたします」
　マジですか？