スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

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5 領地開発したら精霊が現れた件

5ー11 竜来た!

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 5ー11 竜来た!

 「本気かよ?ユイ」
 クーノが心配そうに話しかけてくるので私は、ふん、と鼻を鳴らした。私を誰だと思っている?なんだか知らんけどいっぱい精霊と契約している大聖女様だし!竜ぐらい呼べるって!たぶん!
 「黙って見てて!」
 私は、『ヴェータ』沼の端の森に続く草原の真ん中に立って天へと両手を伸ばして目を閉じた。
 「竜のみなさん!聞こえますか?」
 私は、空へと呼び掛けた。
 もしも、人を乗せて飛んでもいいという竜で、できたら荷物も運べる竜さんがおられたら、すぐにここまできて下さい!
 至急連絡求む!
 私の横でクーノがせせら笑っている気配がする。
 わかっている。
 こんな方法では、どんな竜だって呼べるわけがない。
 竜を呼ぶということは、遊びじゃない、とエリクさんにも叱られた。
 エリクさんいわく、竜を呼ぶには、宮廷魔道師が何人もかかってきちんと魔法陣とか描いて儀式を行ってするものなんだとか。
 でも、やってみるぐらいいいでしょ?
 私は、十分ぐらい続けてから手を下ろした。手をあげてるのもなかなか疲れる。私は、柔らかい草の上に腰を下ろすとクーノを見た。
 クーノは、さきに草の上に座って、というか寝転んで空を見ていた。
 「なぁ、もう、この沼に執着する必要はないんじゃねぇの?」
 クーノに言われて私は、きっとクーノを睨んだが、すぐに肩をすくめてクーノの横にごろんと横になる。
 ああ。
 空がきれいだ。
 今日は、雲一つない。
 空の青さが胸に染みるようだ。
 「別に執着するつもりはないんだけど、ただ、さ。このまま、キンドさんたちの思い通りになるのもシャクで」
 私が言うとクーノがクスッと笑った。
 「確かに、な。でも、正直、俺たちだけでなんとかできるもんじゃないし」
 「わかってる」
 私が言ったとき、空の一角になんかの影が見えたような気がした。
 どうやらクーノにも見えたらしくて、クーノが飛び起きた。
 「なんか、来る!」
 それは、どんどん迫ってきて!
 私は、起き上がると身構えた。
 クーノが短剣を構えると私を背にかばう。
 逃げる時間なんてありゃしないし!
 あっという間に目の前まで迫ってきたそれは、巨大な黒色の鳥?いや、トカゲ?もしかして恐竜?
 「まさか、ほんとに竜が来るとはな!」
 クーノが忌々しげに言うのをきいて私は、それが竜なのだと知った。
 マジで?
 ほんとに竜来た?
 
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