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5 領地開発したら精霊が現れた件
5ー4 私の願い
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5ー4 私の願い
「我らがお前のために力を貸してやっておったこと、知っておるのか?」
ハムシもどきがブンブン飛び回りながらきぃきぃ喚くので私は、耳をふさいだ。
「何?あんたたちが私に力を貸してくれてたの?」
「そうじゃ!」
「お前の願いを叶えてやった!」
「食べ物を冷やしたり、味を変えてやったりした!」
マジですか?
「あんたたちが?」
私がきくとそのハムシもどきたちは、一斉に飛び交いながら騒ぎだした。
「そうじゃ!」
「我らが、お前のために願いを叶えた!」
「願いを叶えてくれたって・・」
私は、ハムシもどきたちに訊ねた。
「なんで?」
「なんで?」
「聖女の願いを叶えるのに理由はいらん!」
「聖女は、我らと大地を繋ぐ者」
「大切な存在」
「守らなくては!」
どうやらこのハムシもどきたちは、私の味方のようだった。
これは、利用しない手はないな。
私は、ハムシもどきたちに向かってにっこりと微笑んだ。
「お願いがあるんですけど」
「なんだ?」
ハムシもどきたちは、私の周囲に集まってきた。ハムシもどきの数は、とても多くて、しかもどんどん増えてきてる?
私は、光の玉に囲まれていた。
「この『ヴェータ』沼を作り変えたいんです。どうか、力を貸してくれませんか?」
私は、ハムシもどきたちに願いを話した。
翌朝。
ルシアさんが目覚めてきた。
「おはようございます、ユイ」
そして、ルシアさんは、デッキに立っていた私の脇にしゃがみこんで顔を洗うために水面を覗き込んだ。
そこには、一面の澄み渡った水面が拡がっていた。
ルシアさんは、手で水をすくうとばしゃばしゃと顔を洗って持っていた布で顔を拭いた。
そして。
顔を上げて朝の空気を胸一杯に吸い込むとルシアさんは、奇妙な表情を浮かべる。
「なんか、変・・」
ルシアさんは、鼻をくんくん動かして辺りの臭いを嗅いでいた。
「なんといいうか・・」
ルシアさんが戸惑った様子で私を見た。
「いい匂い・・」
そう。
辺りには、クルの花の甘い香りが漂っていた。
それは、いつもとはあまりにも違うことで。
ルシアさんは、奇妙な表情を浮かべてぼんやりと辺りを見回していた。まるで夢の国に迷い込んだアリスのような顔をしているルシアさん。
驚いているルシアさんの横で私は、大きなあくびをした。
うん。
とにかく眠くて。
なんだかもう、目蓋が重くて。
私は、そのままデッキに倒れるようにして眠り込んだ。
遠くにルシアさんの声が聞こえたような気がしたけど、もう、動けない。
「我らがお前のために力を貸してやっておったこと、知っておるのか?」
ハムシもどきがブンブン飛び回りながらきぃきぃ喚くので私は、耳をふさいだ。
「何?あんたたちが私に力を貸してくれてたの?」
「そうじゃ!」
「お前の願いを叶えてやった!」
「食べ物を冷やしたり、味を変えてやったりした!」
マジですか?
「あんたたちが?」
私がきくとそのハムシもどきたちは、一斉に飛び交いながら騒ぎだした。
「そうじゃ!」
「我らが、お前のために願いを叶えた!」
「願いを叶えてくれたって・・」
私は、ハムシもどきたちに訊ねた。
「なんで?」
「なんで?」
「聖女の願いを叶えるのに理由はいらん!」
「聖女は、我らと大地を繋ぐ者」
「大切な存在」
「守らなくては!」
どうやらこのハムシもどきたちは、私の味方のようだった。
これは、利用しない手はないな。
私は、ハムシもどきたちに向かってにっこりと微笑んだ。
「お願いがあるんですけど」
「なんだ?」
ハムシもどきたちは、私の周囲に集まってきた。ハムシもどきの数は、とても多くて、しかもどんどん増えてきてる?
私は、光の玉に囲まれていた。
「この『ヴェータ』沼を作り変えたいんです。どうか、力を貸してくれませんか?」
私は、ハムシもどきたちに願いを話した。
翌朝。
ルシアさんが目覚めてきた。
「おはようございます、ユイ」
そして、ルシアさんは、デッキに立っていた私の脇にしゃがみこんで顔を洗うために水面を覗き込んだ。
そこには、一面の澄み渡った水面が拡がっていた。
ルシアさんは、手で水をすくうとばしゃばしゃと顔を洗って持っていた布で顔を拭いた。
そして。
顔を上げて朝の空気を胸一杯に吸い込むとルシアさんは、奇妙な表情を浮かべる。
「なんか、変・・」
ルシアさんは、鼻をくんくん動かして辺りの臭いを嗅いでいた。
「なんといいうか・・」
ルシアさんが戸惑った様子で私を見た。
「いい匂い・・」
そう。
辺りには、クルの花の甘い香りが漂っていた。
それは、いつもとはあまりにも違うことで。
ルシアさんは、奇妙な表情を浮かべてぼんやりと辺りを見回していた。まるで夢の国に迷い込んだアリスのような顔をしているルシアさん。
驚いているルシアさんの横で私は、大きなあくびをした。
うん。
とにかく眠くて。
なんだかもう、目蓋が重くて。
私は、そのままデッキに倒れるようにして眠り込んだ。
遠くにルシアさんの声が聞こえたような気がしたけど、もう、動けない。
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