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5 領地開発したら精霊が現れた件
5ー3 ハムシもどき
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5ー3 ハムシもどき
夜中になにやらひそひそと話す声がきこえて私は目覚めた。
ルシアさんの寝言かと思って隣を見るとルシアさんは、熟睡している。
なら、誰?
私は、ヘイを踏まないように気をつけつつ起き出すと声のする方へと向かった。
声は、小屋の外から聞こえてきた。
甲高い幼い子供のような声が何かを捲し立てている。
私は、小屋の外のデッキに出ると空を見上げた。
満天の星空に小屋を守るようにそびえているクルの木の枝が黒く伸びているのが見える。
その声は、木の上から聞こえてきた。
「この地を王に引き渡すのか?」
「もう、我々の声をきくことも叶わない王にか?」
「我は、反対する!」
「我も!」
真っ暗な木の枝の辺りをふよふよと光の玉が飛び交っている。
まさか、火の玉?
怪奇現象て異世界にもあるんだ!
私は、そっと木の枝に手をかけると静かに上へと上っていった。
「王様に渡すのが嫌なら、私たちに力を貸して!」
飛び交う光に向かって私は、呼び掛けた。
すると。
声がざわつく。
「我らの声が聞こえる?」
「まさか。そんな人間は、ここ数百年はいなかった」
「いや、聞こえてますって!」
私は、光の玉の方へと手を伸ばして逃げ遅れた小さな光の玉を鷲づかんだ。
「ぎやああぁ!殺されるぅっ!」
光の玉がプルプル震えながら叫ぶので思わず突っ込む。
「んなわけないでしょ!」
もし、殺すことが目的ならもっと静かに気配を消して近づいてるし!
私は、掴んでいた手を少し緩めると手のひらの上にいるものを見た。
それは、小さなハムシみたいな人間だった。
妖精?
私は、薄い羽を指先でつまんで持ち上げて見た。
「離せ!羽がもげるぅっ!」
「なんて残酷な!」
「我らを捕まえて羽をもぐ気か!」
「もいだりしません!」
私は、そっと手を離してハムシもどきを枝の上に下ろしてやる。
「お前、もしかして我らが見えるのか?」
ハムシもどきにきかれて私は、頷いた。
「お前、もしかして」
一匹のハムシもどきが私の周囲を飛び回った。
「聖女か?」
「何?聖女?」
夜中になにやらひそひそと話す声がきこえて私は目覚めた。
ルシアさんの寝言かと思って隣を見るとルシアさんは、熟睡している。
なら、誰?
私は、ヘイを踏まないように気をつけつつ起き出すと声のする方へと向かった。
声は、小屋の外から聞こえてきた。
甲高い幼い子供のような声が何かを捲し立てている。
私は、小屋の外のデッキに出ると空を見上げた。
満天の星空に小屋を守るようにそびえているクルの木の枝が黒く伸びているのが見える。
その声は、木の上から聞こえてきた。
「この地を王に引き渡すのか?」
「もう、我々の声をきくことも叶わない王にか?」
「我は、反対する!」
「我も!」
真っ暗な木の枝の辺りをふよふよと光の玉が飛び交っている。
まさか、火の玉?
怪奇現象て異世界にもあるんだ!
私は、そっと木の枝に手をかけると静かに上へと上っていった。
「王様に渡すのが嫌なら、私たちに力を貸して!」
飛び交う光に向かって私は、呼び掛けた。
すると。
声がざわつく。
「我らの声が聞こえる?」
「まさか。そんな人間は、ここ数百年はいなかった」
「いや、聞こえてますって!」
私は、光の玉の方へと手を伸ばして逃げ遅れた小さな光の玉を鷲づかんだ。
「ぎやああぁ!殺されるぅっ!」
光の玉がプルプル震えながら叫ぶので思わず突っ込む。
「んなわけないでしょ!」
もし、殺すことが目的ならもっと静かに気配を消して近づいてるし!
私は、掴んでいた手を少し緩めると手のひらの上にいるものを見た。
それは、小さなハムシみたいな人間だった。
妖精?
私は、薄い羽を指先でつまんで持ち上げて見た。
「離せ!羽がもげるぅっ!」
「なんて残酷な!」
「我らを捕まえて羽をもぐ気か!」
「もいだりしません!」
私は、そっと手を離してハムシもどきを枝の上に下ろしてやる。
「お前、もしかして我らが見えるのか?」
ハムシもどきにきかれて私は、頷いた。
「お前、もしかして」
一匹のハムシもどきが私の周囲を飛び回った。
「聖女か?」
「何?聖女?」
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