スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する～もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます～

5 領地開発したら精霊が現れた件

5ー2 なんとかするし！

　５ー２　なんとかするし！

　「それは・・」
　エリクさんが口を濁す。
　「あきらかにここが普通の町として認められたら、王宮の者たちも無体なことはできないだろうが」
　「そうですか」
　私は、こくりと頷いた。
　「なら、ここにちゃんとした町を作りましょう」
　みんながまじまじと私を見つめている。
　ええっ？
　私は、ちょっと自信が揺らいでいた。
　そんなにあり得ないことをいっちゃったのかな？
　しばらくしてノマさんがぶふっと吹き出した。続いてクーノとルシアさんも笑い出した。
　なんで、みんな、笑ってるの？
　私は、あわあわしてみんなのことを見回していた。
　「ユイは、すごい」
　エリクさんがぽつりと漏らす。
　「私には、そんなことは考えられないだろう」
　いや。
　きっと、誰もあまり考えないかも。
　だって、期限は1ヶ月しかないし。
　資金だってほんとに少ししかないし。
　それに開発するっていっても、何をしたらいいのかもわからないし。
　要するにいい加減なんだよ！
　褒められるようなとこ、1つもないし！
　「とにかく、もっと住みやすくするというのは？」
　ルシアさんが意見を述べたので私も肯定した。
　「それは、いいかも！」
　「でも、沼地を開拓するのは難しいぞ」
　ノマさんがいうので、私は、どん、と胸を叩いた。
　「そこは、私に任せて！」
　何をどう任されるのかは、わからないが、なんとなく大丈夫なような気がしている。
　いざとなればルキエルの超自然的な力でなんとかするし！
　後は、まず、食料問題だな。
　私は、食料を支援してくれそうな貴族とか金持ちとかがいないものかとエリクさんにきいてみたが、そんな都合のいい存在はいないらしい。
　もしかしたら王族に反旗を翻そうとしている組織とかがいるかも、と思ったんだけど、それはそれでややこしいことになりそうだしな。
　革命とかになるのも嫌だ。
　となるとここでなんとかするしかない。
　そういえば昔、とある宗教の偉い人がいくつかのパンと魚をあり得ないほどの人数の人に分け与えたとか。
　何かそういう奇跡的なものが起こせないものか。
　とりあえず、今夜は、明日に備えてもう休むことになった。
　私は、ルシアさんとヘイを連れて部屋へと向かった。
　眠りながら私は、考えていた。
　なんとかならないかな、と。