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4 美味しいは、正義です。

4ー3 パン焼けました。

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 4ー3 パン焼けました。

 十分ほどするとパンが焼き上がった。
 その頃には、ねぼすけのエリクさんも起きてきたので私たちは、朝食にすることにした。
 私は、この前のリベンジにパンを焼いた後のフライパン(もう、ただの底の浅い鍋にしか見えない)でノマさんたちに買ってきてもらったなんらかの獣の肉と卵を焼いた。辺りに食欲を刺激するいい匂いが漂う。
 私が焼いた肉を薄切りにしたものに卵をそえてフライパンを診察台の上に置き焼きたてのパンを配るのをみんな待っていた。
 「さあ、どうぞ」
 言うが早いかみな、食事に手を伸ばす。私も負けずに食べようとするがなかなか手がだせない。
 だって、箸もフォークもスプーンもないし!手掴みってどうよ?皿もないし!
 私とルシアさんは、黙々とパンを食べていた。
 ってか、このパン、信じられないぐらい美味しいんですけど!ふわふわで口に入れて咀嚼するとすぅっと溶けていく感じ。塩しか入れてないのにほのかな甘みもあるし。
 しかも、今日は、水じゃなくて牛乳があるし。
 ルシアさんにちょっと暖めてもらった牛乳は、濃くて美味しい。
 しかも、パンにつけるジャムとバターもある。これ以上、何を望めるというのか?
 作ったパンも肉と卵もあっという間になくなった。
 私たちは、朝食を終えるとしばらく満足してぼんやりとしていた。
 足元で肉の切れ端を齧っていたヘイも横になって毛繕いをしている。
 なんか外が騒がしいことに気づいたルシアさんが小屋の外をうかがって慌てて戻ってくる。
 「外に人がたくさん集まってます!」
 小屋には窓がないので私たちは、そっと小屋の戸を細く開いて外を見た。
 確かに近隣の人々が集まっていた。
 もしかしてパンの匂いに集まってきた?
 幸いにもパン種は、山ほどあった。
 干からびてはいけないので塗らしたシーツでくるんでいたパン種を少しづつ取り出すと私たちは、手分けしてパンを焼きだした。
 私とルシアさんでどんどん焼いていくと焼けた側からエリクさんたちが外で待っている人たちにパンを配っていく。
 すべてのパンを焼き上げる頃には昼頃になっていた。
 私たちが卵を焼いて作ったオムレツの昼食とパンを食べているとばん、といきなり戸が開いてキンドさんが現れた。
 うん?
 もぐもぐしながらじっと入り口に立っているキンドさんを見つめているとキンドさんが信じられないというように私たちを見た。
 「パンを焼いてここの連中に配ったんだって?」
 キンドさんがそういうのでエリクさんが微笑みながらパンを差し出した。
 「これは、ここのみんなのために焼いたものだが特別にあなたにもわけてあげよう」
 ちょっとえらそうなエリクさんもすてき!
 キンドさんは、エリクさんの差し出したパンを睨み付けていたががしっと手で掴むとパンにかぶりついた。
 一口食べて目を見開くとそのまま全部一気に食べてしまう。もぐもぐごっくんしたもののパンに水分を持っていかれて苦しそうに呻いている。
 慌ててルシアさんが牛乳の入ったカップを差し出すとキンドさんは、それをごくごくと飲み干してはぁっと吐息をついた。
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