スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する～もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます～

3 『ヴェータ』沼の聖女

3ー12 神獣？

　３ー１２　神獣？

　「何を・・って」
　私は、子猫を抱き上げると空中に持ち上げた。ヘイは、後ろ足をだらんとしてぶら下がっている。長細ーい！
　「猫を拾っちゃった」
　私は、エリクさんが猫を買わせてくれるかな、と考えていた。案外、動物を拾ってきちゃうタイプっぽいし大丈夫かな。
　『何が、猫を拾っちゃった、ですか！どこの世界に羽や角をはやした猫がいるんです？』
　ルキエルにいわれて私は、はっと真顔になった。
　「やっぱり、ルキエルもおかしいと思う？」
　『当たり前です！』
　ルキエルが私たちの周囲をぶんぶん飛んでる感じがして私は、思わず頭を低くする。ルキエルは、ここぞとばかりに私に文句を言い出した。
　『だいたい、どこに繋がっているかもわからない亜空間に手を突っ込み、あろうことかそこから生き物を連れてくるって！』
　「うん。私もそこは、反省してる」
　私は、目を伏せた。
　「私のせいでこの子が親とはぐれてしまった。この責任は、私がちゃんととるから！」
　『責任って』
　ルキエルが少しだけ落ち着いてきたみたいな様子になる。
　『わかっているならいいんです。私もこれ以上は、とやかく言いません』
　ルキエルが私の肩に乗っているのがなんとなくわかった。
　『まあ、神獣と契約をしてしまったことは、聖女としてめでたいことですし』
　はい？
　神獣？
　神獣ってなんですのん？
　「神獣って、何？」
　私がきくとルキエルがまた、ぶんぶん飛び回り始める。
　『あなたは！神獣と知らずに契約をしたんですか？ほんとに？』
　だって。
　私は、ヘイを持ち上げて全身をぐるぐる眺めた。
　うん。
　どこからどうみてもただの子猫だし。ちょっと角とかあるけどさ。
　『角とかが重要なんでしょう？』
　ルキエルが以上に興奮している。ヤバいんじゃないの？天使って高齢が多いからあまり興奮したら血管が切れるんじゃ？
　「まあ、落ち着きなよ、ルキエル」
　『これが落ち着いていられますか！』
　怒鳴られた。
　わけもわからずに怒鳴られたりしたら私が子供なら家出案件だよ？
　『いいですか？ユイ』
　ルキエルがバカに言い聞かせるみたいに話し出す。
　『この世界で聖女が神獣と契約したのは３００年前が最後なんです。以来、誰も神獣と契約どころか、姿を確認することもできなかったのです』