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3 『ヴェータ』沼の聖女
3ー8 負けるつもり、ない
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3ー8 負けるつもり、ない
マジですか?
私は、ルシアさんをまじまじと見ていた。
でも。
そういえばルシアさんは、なんだかいいとこのお嬢さんって感じがするときがあるかも。じゃ、なんでこんなとこに住んでるわけ?
「父は、以前は、冒険者として成功していましたが、この『ヴェータ』沼の出なんです」
ルシアさんがジャムの鍋をかき混ぜながら話した。部屋の中に甘い香りが漂っている。
「だから、冒険者を引退したらここに戻って人の役にたちたいと思っていたようで。私も父と一緒にここに来ることにしました。エリク様が王宮を追われた後、ここに移り住まれたのは、そういう縁もあったからです」
そうだったんだ。
だからといって別にほろりとすることがあるわけでなし。
「ルシアさんは、エリクさんの恋人?」
私は、思いきってズバッときいてみた。ルシアさんがぼっと顔を真っ赤に染めた。
「そんなこと、ありえません!エリク様にとって私は、姉のようなものですから」
姉?
年下なのに姉?
私が小首を傾げるのを見てルシアさんが付け加える。
「だって、エリク様って世間知らずだし、すぐに騙されちゃうし、甲斐性なしだし。すぐに泣いちゃうし。私がお世話をしてあげないとダメだから」
そうなんですか?
私は、かなり引いていた。
控えめにいってもアンドロメダ辺りまで引いていた。
普通に恋人なら問題ないかもしれない。でも、こんな絆主張されちゃったらもう、ダメでしょ。
私は、ため息をついた。短い恋だったな。しょせん、イケメンなど、虫つきに決まっているのだ。なぜなら、女は、そういう生き物だから。
エリクさんほどのいい男がこの年まで放逐されてる筈がないし。
私がすんとしてるとノマさんがはぁっとため息を漏らした。
「ほんと、みんな、なんでエリク様ばかりに惚れるんだ?他にも男はいっぱいいるのによ」
確かに男は、いっぱいいる。星の数ほどいる。でも、エリクさんは、この世に1人だけだし!
私は、きっとルシアさんを見た。
「負けるつもり、ないから!」
私は、ルシアさんに宣言した。
「絶対、エリクさんは、私とフォーリンラブしちゃうんだからね!」
「わ、私だって!」
ルシアさんが顔を真っ赤にしてる。
「その、ふぉーりん、らぶ?しますから!」
私たちは、お互いにニヤッと笑いあった。
寝室から顔を出したエリクさんが「だから、子供に興味はないって・・」とか言ってるのは無視して、私たちは、がしっと握手していた。
マジですか?
私は、ルシアさんをまじまじと見ていた。
でも。
そういえばルシアさんは、なんだかいいとこのお嬢さんって感じがするときがあるかも。じゃ、なんでこんなとこに住んでるわけ?
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「だから、冒険者を引退したらここに戻って人の役にたちたいと思っていたようで。私も父と一緒にここに来ることにしました。エリク様が王宮を追われた後、ここに移り住まれたのは、そういう縁もあったからです」
そうだったんだ。
だからといって別にほろりとすることがあるわけでなし。
「ルシアさんは、エリクさんの恋人?」
私は、思いきってズバッときいてみた。ルシアさんがぼっと顔を真っ赤に染めた。
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姉?
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そうなんですか?
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「ほんと、みんな、なんでエリク様ばかりに惚れるんだ?他にも男はいっぱいいるのによ」
確かに男は、いっぱいいる。星の数ほどいる。でも、エリクさんは、この世に1人だけだし!
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「絶対、エリクさんは、私とフォーリンラブしちゃうんだからね!」
「わ、私だって!」
ルシアさんが顔を真っ赤にしてる。
「その、ふぉーりん、らぶ?しますから!」
私たちは、お互いにニヤッと笑いあった。
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