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3 『ヴェータ』沼の聖女

3ー3 握手券でもいいんじゃない?

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 3ー3 握手券でもいいんじゃない?

 「エリク様は、ほんとなら将来この国の国王になる筈だった方なんです」
 ルシアさんが突然の爆弾発言。
 将来の王様ってことは、王子様なんですか?
 私は、なんとなく納得していた。
 エリクさんのただのイケメンを越えたイケメンっぷりは、王子様のせいだった。たとえ王位継承権を剥奪されててもエリクさんの王子様キャラが変わることはないのだ。
 しかし、王子様がなぜ、よりにもよってこの『ヴェータ』沼に?
 いくら魔法の使えない薬師でももっと普通にいいところに住めるんじゃないの?
 「エリク様は、たとえ魔法が使えずとも私たち民のことを1番に考えてくださる方なんです」
 ルシアさんが目をキラキラさせて話してくれる。
 「だから、この『ヴェータ』沼で薬師をしてくださっているんです」
 マジか。
 なんかよくわからないけど、1つだけわかったことがある。
 それは、ルシアさんがめっちゃエリクさんのこと好きだということ。いや。好きというより、崇拝してる感じ?
 こんな美人で、グラビアアイドル並みのプロポーションを持っているんだし、性格も悪くない。
 もし、私より子供じゃなければライバル視してしまう。
 まあ、エリクさんは、私ですら子供過ぎて対象外だというんだし、ルシアさんには悪いけど、 子供扱いの私よりさらに2つも年下なんだし、もう幼児だよね?
 胸部装甲が特化された幼児か。
 それはそれで需要があるのかもしれない。ただ、私に関係ないところでやって欲しいんだけど。
 私たちは、うだうだ言いながら軟膏を作っていた。軟膏といっても薬効のある干し草を粉にして小麦粉を練ったものに混ぜるというだけのものなんだけど。
 切り傷とかやけどとかに効くことになっているらしいけど、ほんと、これで治るなら薬なんていらないんじゃね?
 できた薬を貝殻につめていく。
 これをエリクさんは、1貝殻につき銅貨2枚で売っている。安いんだか高いんだかわからないけど、おそらくは、安いんだろう。
 私なら効かない薬を売るぐらいならエリクさんの握手券でも売った方がいいと思うんだけど。
 
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