スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

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3 『ヴェータ』沼の聖女

3ー2 呪い師レベルかも

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 3ー2 呪い師レベルかも

 ルシアさんと話し合った結果、私たちは、クルの実でジャムとパイを作ることにした。
 キンドさんのとこの人が来たから水を売って金貨をもらい、それで魔道コンロを買うことにした。
 なんでもこの辺りの住人たちでコンロを持っている人はほぼほぼいないんだとか。
 コンロは、ノマさんとクーノに買ってきてもらうことになった。どうやら2人は、なんでも屋なのらしい。
 クーノは、私がもらったクルの実がすごいことになったのを見てめちゃくちゃ驚いていた。
 「マジかよ?」
 事実は、小説よりも奇なり。
 私は、クーノに金貨と一緒にクルの実(巨大版)を1つ渡してコンロを買ってくることを依頼した。ついでに鍋やフライパンとかの調理器具も買ってきてもらうことにする。
 「けっこうな荷物になるけど大丈夫?」
 私がきくとノマさんがにかっと笑った。
 「王都のすぐそばまでは、船で行けるからな。そこから先は、馬車を借りなきゃならんがこれだけ資金があれば楽勝だ」
 私も買い物についていきたかったがルキエルがものすごく反対するので止めておくことにした。
 まあ、何しろこれでも隠れてる身だし。仕方がない。
 私は、ルシアさんと一緒に干した薬草をすり潰して軟膏をつくることになった。
 エリクさんは、魔法が使えない。つまり、エリクさんが扱っている薬は、ただの普通の薬なのだ。特別によく効くとかはない。それでも客がくるのは、この『ヴェータ』沼にエリクさんの他に薬師がいないからだ。
 この世界では、薬師は、貴重な存在らしい。薬師、というかもうほぼ医者だよね、とはいえそのレベルは、どうやら大昔の呪い師ぐらいかな。
 だから、エリクさんは、私の入った風呂の残り湯がエリクサーに変わったとき捨てるのをもったいないとか言っていたのだろう。
 どんな病気や怪我も治せる薬なんてもったいなくって捨てられない。
 「薬師は、魔法が使えないエリク様がつける唯一の職業ですからね」
 手を動かしながらルシアさんが話してくれるのに耳を傾けていた私は、ふと疑問を持った。
 「他の薬師も魔法を使えない人たちなの?」
 私の質問にルシアさんは、困ったような顔をした。
 「他の薬師に会ったことがないのでわからないけど、たぶん、少しは魔法を使ってるんじゃないかと思いますよ」
 マジですか?
 
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