26 / 170
2 聖女は、隠されたい?
2ー12 告白
しおりを挟む
2ー12 告白
食事の後、私は、エリクさんに幾ばくかの土と植木鉢のようなものをもらえないかと頼んだ。昨日、クーノにもらった木の実を鉢に植えて育てたいと思ったからだった。
この木の実は、美味しい。しかもクーノがいうには栄養もある。なら、育てるしかないし!
エリクさんは、台所の隅の方から木箱とそれに入った土を出してくれた。
「前に薬草を育てられないかと思って用意してたものなんだがもう、使わないからユイが使うなら使ってもいい」
そういってくれたので遠慮せずに使わせてもらうことにした。でも、この土、なんかドブの臭いがするし!
きくとこれは、このドブ沼の底から採取した土なのだという。
それってただのドブさらいなんじゃ?
てか、これヘドロじゃね?
これで薬草を育てようとか、エリクさん、ちょっと残念な人なのかも。
ともかく私は、それをデッキに運んでそこでクーノにもらった木の実の残りを1粒蒔いてみることにした。
でも、このままじゃだめそうなのは、園芸初心者の私にもはっきりとわかる。どうしたものか。
『土を浄化して』
ルキエルが囁くので、私は、試しに土に両手をかざして念じてみた。
「なんとかなればいいのに」
すると、その汚染された臭い土が淡い光を発して輝いた。ドロッとしていた土がぱぁっと光ったかと思うと少しぶくぶくっと泡が出てきてどんどん乾いてさらさらになっていく。
光がおさまると土は、普通に園芸屋さんで売ってるような土に変化していた。
うん。
私は、土を手にとって臭いをクンクン、嗅いでみる。
普通に土だ。ドブ臭さもなくなってるし。
私は、その木箱の土に木の実を植えると水をかけた。そして、日当たりのいい場所に置いておいた。
「ユイ」
エリクさんが小屋の中から呼ぶ声がきこえて私は、躾のいい忠犬みたいにすぐにエリクさんのところへと向かった。
エリクさんは、あの悪魔の壺に向かって何やら薬草を放り込んでいた。というか、これ、水につけてるだけのものですよね?薬草を煎じてもいないし。
エリクさんは、汚れのないイケメンスマイルを私に向ける。
「新しい薬草を加えてみたんだ。試飲してくれないか?」
マジですか?
私は、顔がひきつるのを感じていた。
私は、エリクさんの見方だし、どちらかというとエリクさんが好きだ。というか、愛してるかもしれない。でも、その液体を飲みたくはなかった。
私は、エリクさんに訊ねた。
「それって、なんで煎じてないんですか?」
もちろん軽い気持ちで聞いたわけだし、特に悪意はなかったが、エリクさんの表情が曇る。
「やっぱりユイも煎じた方がいいと思うか?」
私は、こくこくと頷いた。だって、ここのドブ水に薬草を浸けただけってだたのドブ水と変わらないし。
エリクさんは、陰りのある横顔で告白した。
「私は、魔法が使えない」
食事の後、私は、エリクさんに幾ばくかの土と植木鉢のようなものをもらえないかと頼んだ。昨日、クーノにもらった木の実を鉢に植えて育てたいと思ったからだった。
この木の実は、美味しい。しかもクーノがいうには栄養もある。なら、育てるしかないし!
エリクさんは、台所の隅の方から木箱とそれに入った土を出してくれた。
「前に薬草を育てられないかと思って用意してたものなんだがもう、使わないからユイが使うなら使ってもいい」
そういってくれたので遠慮せずに使わせてもらうことにした。でも、この土、なんかドブの臭いがするし!
きくとこれは、このドブ沼の底から採取した土なのだという。
それってただのドブさらいなんじゃ?
てか、これヘドロじゃね?
これで薬草を育てようとか、エリクさん、ちょっと残念な人なのかも。
ともかく私は、それをデッキに運んでそこでクーノにもらった木の実の残りを1粒蒔いてみることにした。
でも、このままじゃだめそうなのは、園芸初心者の私にもはっきりとわかる。どうしたものか。
『土を浄化して』
ルキエルが囁くので、私は、試しに土に両手をかざして念じてみた。
「なんとかなればいいのに」
すると、その汚染された臭い土が淡い光を発して輝いた。ドロッとしていた土がぱぁっと光ったかと思うと少しぶくぶくっと泡が出てきてどんどん乾いてさらさらになっていく。
光がおさまると土は、普通に園芸屋さんで売ってるような土に変化していた。
うん。
私は、土を手にとって臭いをクンクン、嗅いでみる。
普通に土だ。ドブ臭さもなくなってるし。
私は、その木箱の土に木の実を植えると水をかけた。そして、日当たりのいい場所に置いておいた。
「ユイ」
エリクさんが小屋の中から呼ぶ声がきこえて私は、躾のいい忠犬みたいにすぐにエリクさんのところへと向かった。
エリクさんは、あの悪魔の壺に向かって何やら薬草を放り込んでいた。というか、これ、水につけてるだけのものですよね?薬草を煎じてもいないし。
エリクさんは、汚れのないイケメンスマイルを私に向ける。
「新しい薬草を加えてみたんだ。試飲してくれないか?」
マジですか?
私は、顔がひきつるのを感じていた。
私は、エリクさんの見方だし、どちらかというとエリクさんが好きだ。というか、愛してるかもしれない。でも、その液体を飲みたくはなかった。
私は、エリクさんに訊ねた。
「それって、なんで煎じてないんですか?」
もちろん軽い気持ちで聞いたわけだし、特に悪意はなかったが、エリクさんの表情が曇る。
「やっぱりユイも煎じた方がいいと思うか?」
私は、こくこくと頷いた。だって、ここのドブ水に薬草を浸けただけってだたのドブ水と変わらないし。
エリクさんは、陰りのある横顔で告白した。
「私は、魔法が使えない」
48
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ゴミスキル【スコップ】が本当はチート級でした~無能だからと生き埋めにされたけど、どんな物でも発掘できる力でカフェを経営しながら敵を撃退する~
名無し
ファンタジー
鉱山で大きな宝石を掘り当てた主人公のセインは、仲間たちから用済みにされた挙句、生き埋めにされてしまう。なんとか脱出したところでモンスターに襲われて死にかけるが、隠居していた司祭様に助けられ、外れだと思われていたスキル【スコップ】にどんな物でも発掘できる効果があると知る。それから様々なものを発掘するうちにカフェを経営することになり、スキルで掘り出した個性的な仲間たちとともに、店を潰そうとしてくる元仲間たちを撃退していく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
不当に扱われるメイドと不遇の王子達
ひづき
恋愛
下級メイドのアーネはいつも仕事を押し付けられていた。
ある日、体調不良の令息ウィルを押し付けられる。
そのウィルを迎えに来た、ウィルと瓜二つの青年エストと出会ったことで、アーネの生活は一変する。
実質解雇になったり、養女になったり、王太后の復讐に巻き込まれたりするアーネ。
復讐しか頭にない王太后、無関心な国王、善人すぎる第二王子、狂った王弟。様々な王家の柵に振り回されるウィルとエスト。
目指すハッピーエンドに辿り着けるのは誰なのか。
■ 毎日21時更新
■ 2021/10/20 開始
■ 全24話
■ 2021/11/12 完結予定
■ 番外編 2021/11/13以降公開予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
冷めたイモフライは本当は誰かに愛されたい
メカ喜楽直人
恋愛
仕事が終わった帰り道。お腹が空き過ぎたオリーは、勤め先である惣菜店で貰って来た売れ残りのイモフライを齧りながら帰ることにした。冷めていて古くなった油でべとべとのそれは当然のことながらオイシイ訳もなく。「まずいまずい」と変なテンションで笑いながら食べていると、そこに誰かから声を掛けられた。
「こんな夜中にどうしたの?」
戦争中に両親を亡くし、継ぐべき家を失った元子爵令嬢が怪しげなおじいさんに拾われて、幸せになるまでの話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『帰還勇者のRe:スクール(学園無双)』~リエナIf~異世界を救って帰還したら聖女がついてきたのでイチャコラ同棲して面倒をみようと思います。
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
ファンタジー
◆1行あらすじ
異世界を救った勇者(元陰キャ)が、ともに戦った可愛い聖女と地球に帰還して甘々ラブコメしつつ学校などで無双します。
◆あらすじ
織田修平は学校カースト底辺の陰キャ男子高校生。
修平はある日突然、異世界『オーフェルマウス』に召喚され、召喚した神官リエナとともに5年をかけて魔王を倒し、世界を救った。
そして地球に帰還する瞬間、なんとリエナが一緒に着いてきてしまったのだ――!
修平は鍛え上げた身体能力や勇者スキルによって学校で大活躍。
家でも学校でも好意を寄せてくるリエナと甘々ライフを送ります。
(一緒に寝たり、遊園地で甘々デートをしたり)
ついでにこの世界までやってきた魔王も、勇者の力で余裕で粉砕!
――――
本来は異世界に残り負けヒロインルートをたどるはずのリエナが、最初の段階で着いてきてしまった「もしも」のストーリー。
つまりリエナがヒロインバージョンのリスクールです。
これ単体で完全に完結した1つの物語になっています。
でも本編とリンクしたシーンも所々ありますので、本編を読んでからの方が「ああこれはあのシーンね!」と少しだけニヤリとできるかと思います(*'ω'*)b
本編である
『帰還勇者のRe:スクール(学園無双)』はカクヨムなどで連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる