10 / 170
1 いきなりスラムかよ?
1ー9 貴重で高価なものなんだよ
しおりを挟む
1ー9 貴重で高価なものなんだよ
「何って」
エリクさんが当然のことのように言い放った。
「エリクサーを取り置いているんだが」
それが何か?みたいにエリクさんに言われて私は、ちょっと怯んでしまう。でも、すぐにきっとエリクさんを睨み付けた。
「わた、私の入ったお風呂のお湯を何かに使おうとするのやめてくれませんか!」
「ええ?」
エリクさんが手を止めると瞬きして私を見つめた。
「しかし、これを捨てるのはもったいないだろう?」
はい?
私は、恥ずかしさに頬が熱くなる。
「だって、だって」
「いいか?タザキ」
エリクさんが私を諭すように話し出した。
「この『ヴェ-タ』沼では、薬は、貴重なものなんだ。特にエリクサーみたいな特別な薬は、ここの人たちにとっては、一生目にすることもないようなものなんだよ」
「でも!」
私は、負けずにエリクさんを見つめた。
「私の乙女の純情は?」
「乙女の純情?」
エリクさんがキョトンとする。
まるで、そんなものがこの世に実在すると初めて聞かされたというように。
マジですか?
私は、興奮してふーふーと威嚇する猫のようになっていた。なんとかしてお風呂の残り湯を捨てさせなくては!
「そんなに必要なら、いくらでもまた作りますから!」
私が言うとエリクさんがぱっと顔を輝かせる。
「本当に?」
こくんと私は、頷いた。
エリクさんは、私が新しく薬を作るのと引き換えに私が入った後のお風呂の湯を捨ててくれることに同意した。
でも、なんか、もったいなそうにしてるから私は、エリクさんが全てのお風呂の残り湯をドブに捨てるのをきちんと目視で確認した。
エリクさんは、桶の湯をドブに捨てると私に笑いかけた。
「これで全部捨てたよ、タザキ」
辺りはもう暮れなずんでいて私とエリクさんは、小屋の中に戻り、エリクさんのすすめで夕食をいただくことになった。
といってもテーブルは、さっき私が横になっていた台だし、食べ物は、固い干し肉の塊が2個ほどとこちこちの石みたいな黒パンが1つだけ。後は、水。
私は、ぐうぐうお腹が鳴っているにもかかわらず少しも食べられなかった。
特に、水。
なんか、生臭い臭いがしてるし!
私は、エリクさんの小屋の台所らしきところに置かれていた水瓶を確かめた。すると、それは、中に黒いカビが漂っていてなんかの虫がいっぱい発生していた。
「ぎやああぁっ!」
私は、悲鳴をあげるとその水瓶の水を外のドブに捨てた。エリクさんは、私をすごく冷たい目で見ていた。
「なんてことをするんだ?タザキ」
「だって!ガビが生えてるからっ!」
水瓶の水を捨てると私は、魔法で水を出してその水瓶を洗い始めた。
エリクさんは、それをじっと見ていたが私に冷ややかに告げた。
「君は、水を出せるのかもしれないが、ここではそんな力を持つ者は少ないんだ。君が今、沼に捨てた水は、とても貴重で高価なものなんだよ、タザキ」
「何って」
エリクさんが当然のことのように言い放った。
「エリクサーを取り置いているんだが」
それが何か?みたいにエリクさんに言われて私は、ちょっと怯んでしまう。でも、すぐにきっとエリクさんを睨み付けた。
「わた、私の入ったお風呂のお湯を何かに使おうとするのやめてくれませんか!」
「ええ?」
エリクさんが手を止めると瞬きして私を見つめた。
「しかし、これを捨てるのはもったいないだろう?」
はい?
私は、恥ずかしさに頬が熱くなる。
「だって、だって」
「いいか?タザキ」
エリクさんが私を諭すように話し出した。
「この『ヴェ-タ』沼では、薬は、貴重なものなんだ。特にエリクサーみたいな特別な薬は、ここの人たちにとっては、一生目にすることもないようなものなんだよ」
「でも!」
私は、負けずにエリクさんを見つめた。
「私の乙女の純情は?」
「乙女の純情?」
エリクさんがキョトンとする。
まるで、そんなものがこの世に実在すると初めて聞かされたというように。
マジですか?
私は、興奮してふーふーと威嚇する猫のようになっていた。なんとかしてお風呂の残り湯を捨てさせなくては!
「そんなに必要なら、いくらでもまた作りますから!」
私が言うとエリクさんがぱっと顔を輝かせる。
「本当に?」
こくんと私は、頷いた。
エリクさんは、私が新しく薬を作るのと引き換えに私が入った後のお風呂の湯を捨ててくれることに同意した。
でも、なんか、もったいなそうにしてるから私は、エリクさんが全てのお風呂の残り湯をドブに捨てるのをきちんと目視で確認した。
エリクさんは、桶の湯をドブに捨てると私に笑いかけた。
「これで全部捨てたよ、タザキ」
辺りはもう暮れなずんでいて私とエリクさんは、小屋の中に戻り、エリクさんのすすめで夕食をいただくことになった。
といってもテーブルは、さっき私が横になっていた台だし、食べ物は、固い干し肉の塊が2個ほどとこちこちの石みたいな黒パンが1つだけ。後は、水。
私は、ぐうぐうお腹が鳴っているにもかかわらず少しも食べられなかった。
特に、水。
なんか、生臭い臭いがしてるし!
私は、エリクさんの小屋の台所らしきところに置かれていた水瓶を確かめた。すると、それは、中に黒いカビが漂っていてなんかの虫がいっぱい発生していた。
「ぎやああぁっ!」
私は、悲鳴をあげるとその水瓶の水を外のドブに捨てた。エリクさんは、私をすごく冷たい目で見ていた。
「なんてことをするんだ?タザキ」
「だって!ガビが生えてるからっ!」
水瓶の水を捨てると私は、魔法で水を出してその水瓶を洗い始めた。
エリクさんは、それをじっと見ていたが私に冷ややかに告げた。
「君は、水を出せるのかもしれないが、ここではそんな力を持つ者は少ないんだ。君が今、沼に捨てた水は、とても貴重で高価なものなんだよ、タザキ」
56
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる