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1 いきなりスラムかよ?

1ー2 助演男優賞間違いないな

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 1ー2 助演男優賞間違いないな

 「私は、エリク。エリク・イル・ラシウス。この『ヴェータ』で薬師をしている」
 エリクさん。
 私は、心の中で名を呼んでいた。
 美形の薬屋さん?
 ぼーとしてるとエリクさんがじっと私を見ているのに気づいて焦る。
 そうだ!
 彼は、私が名乗るのを待っているんだ。
 「田崎、唯、です。あの、助けていただきありがとうございますっ!」
 慌てて名乗る私にエリクさんは、少し考え込んだ。
 「タザキ・ユイ?貴族の令嬢がなぜ、こんな場所に?」
 「はいっ?」
 私は、誤解しているエリクさんに説明した。
 「あのっ!私は、ただの平民ですからっ!貴族なんかじゃありません!」
 私は、勢いでエリクさんにきいた。
 「もしかして、ここは、映画の撮影所とか?ハリウッドっ的な?」
 「エイガ?サツエイショ?ハリウッド?」
 あっ!
 1つだけ正解?
 だが、エリクさんは、首を傾げた。
 「すまんが、君のいうことはよくわからない、タザキ」
 エリクさんは、私にここがラシウス王国の王都の近くにある町だということを教えてくれた。
 うん?
 ラシウス王国?
 そんな国、あったっけ?
 私は、世界地図を思い浮かべてみたが、エリクさんがいってる国がどこにあるのかもわからなかった。
 というか、ここファンタジー映画の撮影じゃないの?
 というか、すごくリアルなこの臭い!
 すごいよ!
 映画始まったら絶対見に行こう!
 というか、エリクさんのファンクラブに入会しよう!
 そう私が思っていたとき、建物の中に誰かが入ってきた。
 「エリク様!」
 「どうした?ルシア」
 この小屋に駆け込んできたこれまた美人のお姉さんにエリクさんが振り向くとお姉さんは、連れていた子供をエリクさんに示した。
 「クーリアが!スライムの毒にやられて!」
 「クーリアが?」
 エリクさんは、お姉さんの連れていた子供を抱き抱えるとその子の名前を呼んだ。
 「クーリア!しっかりしろ!」
 クーリアと呼ばれた男の子は、なんか、泡を吹いて呻いている?
 マジで?
 これ、映画なんだよね?
 エリクさんは、男の子を床に寝かせるとすぐに奥の竈にかかっている壺から杓子でさっきのコップにあの殺人的にまずい液体を入れるとその子供に飲ませた。
 いやいや!
 あれを子供に飲ませるの?
 さすがにまずいんじゃ?
 児童保護法にひっかかるんじゃね?
 やっぱり、液体を飲まされた子供は、余計に痙攣して眼も白目でヤバい感じだし!
 というか、これが演技ならこの子、助演男優賞間違いないな!
 
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