99 / 107
第8章 神々のたそがれ
その6
しおりを挟む
わたしを自分のテントへと案内したキースは、二人きりになるとわたしに訊ねた。
「あの神のことをどう思う?」
「どうって?」
わたしは、キースに聞き返した。
キースは、まだるっこしそうに低くうめく。
「クロト。君だって神迎えの儀式における勇者の役割を知らない訳じゃないだろう?」
神迎えの儀式での勇者の役目。
それは。
神をこの世界に受け入れるために神に勇者の子を孕ませること。
それによってこの世界に新しい神の血が混じるのだ。
しかし。
わたしは、首を振った。
「あの神は、どうみても子供、でしょ?たぶん、無理」
うん。
あれは、幼すぎる。
たとえ神であってもあんなに幼くては子を孕んだりはできないだろう。
少なくともあと数年は、待たなくては。
だが。
キースは、焦っていた。
なぜなら、この神は、クロフクロスト王国に連れ帰ることができないから。
ロクとの約束で神は、ランナクルス王国に迎えることになっている。
だから、もし、キースが神を孕ませることができるとしたら今しかチャンスはなかった。
しかし、神は、幼い。
とても子を孕めるようには見えなかった。
「私は、どうすればいい?」
キースがいったりきたり、うろうろしながらわたしに訊ねた。
「たとえ、孕ませられないかもしれなくとも神を抱くべきなのか?」
まあ、これが儀式だとすればそれは、そうなのかもしれない。
けど。
あの子は。
わたしは、さっきまでの怯えきったあの子の様子を思い浮かべていた。
異界には、神を食らう魔物がいる。
そう、信じていながらも、この異界にきたのだ。
「かわいそうに。あの子、震えていたわ」
わたしは、キースをとがめるように見つめた。
「まだ、5才だって言ってた」
「5才?」
キースが愕然として呟く。
「今までの言い伝えでは、神は、確か、15、6才の少女である筈。しかも、毎回、3人は訪れる筈なのに今回は、1人だけだ」
そんなこと言われても。
わたしは、キースを見つめてため息をついた。
「とにかく。今言えることは、あの子は、まだ、子供で、そういうことは無理そうってことだけよ」
「あの神のことをどう思う?」
「どうって?」
わたしは、キースに聞き返した。
キースは、まだるっこしそうに低くうめく。
「クロト。君だって神迎えの儀式における勇者の役割を知らない訳じゃないだろう?」
神迎えの儀式での勇者の役目。
それは。
神をこの世界に受け入れるために神に勇者の子を孕ませること。
それによってこの世界に新しい神の血が混じるのだ。
しかし。
わたしは、首を振った。
「あの神は、どうみても子供、でしょ?たぶん、無理」
うん。
あれは、幼すぎる。
たとえ神であってもあんなに幼くては子を孕んだりはできないだろう。
少なくともあと数年は、待たなくては。
だが。
キースは、焦っていた。
なぜなら、この神は、クロフクロスト王国に連れ帰ることができないから。
ロクとの約束で神は、ランナクルス王国に迎えることになっている。
だから、もし、キースが神を孕ませることができるとしたら今しかチャンスはなかった。
しかし、神は、幼い。
とても子を孕めるようには見えなかった。
「私は、どうすればいい?」
キースがいったりきたり、うろうろしながらわたしに訊ねた。
「たとえ、孕ませられないかもしれなくとも神を抱くべきなのか?」
まあ、これが儀式だとすればそれは、そうなのかもしれない。
けど。
あの子は。
わたしは、さっきまでの怯えきったあの子の様子を思い浮かべていた。
異界には、神を食らう魔物がいる。
そう、信じていながらも、この異界にきたのだ。
「かわいそうに。あの子、震えていたわ」
わたしは、キースをとがめるように見つめた。
「まだ、5才だって言ってた」
「5才?」
キースが愕然として呟く。
「今までの言い伝えでは、神は、確か、15、6才の少女である筈。しかも、毎回、3人は訪れる筈なのに今回は、1人だけだ」
そんなこと言われても。
わたしは、キースを見つめてため息をついた。
「とにかく。今言えることは、あの子は、まだ、子供で、そういうことは無理そうってことだけよ」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる