荒ぶる獣たちは、荒野に愛を叫ぶ~捨てられたゴブリン少女は、獣人の王に溺愛されてます~

トモモト ヨシユキ

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第7章 聖女の戦い

その8

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 「フラウは、人の心の醜い部分を好むんだ。だから、エルフに嫁ぐのはある意味、フラウにとっては、望むところなのさ」
 ロクは、わたしにそう答えた。
 けれど。
 女として生まれてきたなら愛する人のもとに嫁ぐことを夢見るのでは?
 実際、フラウ様も言われていた。
 『ロクザナ-ル陛下。あなたが私をもらってくれるのかと思っていましたわ』
 彼女は、確かにそう、言った。
 「あの方、あなたのことを好きなのではないですか?」
 「フラウが私のことを?」
 ロクがなぜかすごく嫌そうな顔をした。
 なんで?
 わたしがじっとロクを見ているとロクは、はぁっとため息を漏らした。
 「あれは、とんでもない化け物だからな。だが、私は、フラウの好みのタイプではない。あれが好むのは、心の内に弱さや迷いを抱えた者だ。そして、他者を貶めてまでも何かを得たいと思うような者。それが、あの悪魔の好む者だ」
 ロクは、口許を歪める。
 「きっと、エルフのもとに行けば、彼女は、幸せになれるだろうな」
 ええっと。
 わたしは、ひきつった笑みを浮かべた。
 それって、フラウ様がエルフたちの欲望を食らっていくってことですか?
 悪魔に魂を食べられる。
 それは、恐ろしいことだとわたしは、思っていた。
 『強欲』の悪魔に魂を食べられていた魔女ミリアがどんな最後を迎えたのか。
 わたしがぶるっと体を震わせるのを見てロクがわたしの耳元で囁く。
 「大丈夫。君の魂には、他の悪魔の手は触れさせはしない。君の魂は、私だけのものだからね」
 「ロクも、わたしの魂を食べるの?」
 わたしは、不安だった。
 悪魔に魂を食べられるって。
 魂を食べられたらどうなってしまうの?
 ロクは、不安げなわたしのことを落ち着かせようとするようにそっと髪を撫でた。
 「私たちは、契約を交わした。私もいつかは、君の魂を食らう。だが、それは、今じゃない」
 ロクがわたしの腰に手をまわしてわたしを抱きよせた。
 髪に顔を埋めて匂いを嗅ぎながらロクは、告げた。
 「君の魂を食らうのは最高の快楽だろう。私にとっても、君にとっても。そのときがくるのが待ち遠しいよ、クロト」
 ロクがくぐもった声を出した。
 「君をこの腕に抱き、君の魂をむさぼる。考えただけでも堪らない愉悦だ」
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