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第7章 聖女の戦い
その6
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それから3日後。
ランナクルス王国に一旦戻っていたロクが1人の姫を連れて帰ってきた。
その姫は。
ロクの従姉妹ならさぞかし美しいことだろうとは思っていたのだが、予想に違わぬ美しさだった。
流れるような黒髪を腰まで垂らして薄いベールを被っていたが、そのベールの隙間から垣間見える白い横顔は、神がかっていると思われるほど艶やかだ。
わたしがぽぅっとして見つめているとロクがわたしの腕をひいて正気づかせる。
「しっかりして、クロト」
わたしは、ロクに言われてはっと気づいた。
ついつい姫にみいってしまった。
それほど、姫は、美しかった。
「あまり見つめてはいけないよ、クロト。このフラウにみいられてしまったら魂を抜かれてしまうからね」
ほえっ?
わたしは、目を丸くしていた。
ロクは、わたしに話した。
「フラウがこの年まで嫁の貰い手がなかったのは、この魅了の力のせいもある。フラウは、相対する相手を誰でも魅了してしまうんだ。そして、魅了された者は、フラウのいいなりになってしまう」
それは・・
わたしは、ベール越しの姫の姿を見つめて言葉を失っていた。
「でも、あなたは、私を見ても魅了の術にかかりませんでしたわ、ロクザナ-ル陛下」
鈴の音のようなかわいらしい声で姫が話すのに、わたしは、ぼぅっと聞き入っていた。
「だから、てっきりあなたが私をもらってくださるものとばかり思っていたのですけど」
フラウ様は、くすっと笑った。
「あなたの心は、私のものにはなりませんでしたわね」
「また、そんなことを」
ロクがうんざりした様子で冷たく手を振った。
「フラウ、君の言葉でクロトの心をかき乱そうとするのはやめてくれないか。クロトは、私と違って純粋なんだから」
「ふぅん」
フラウ様が興味深げにベール越しにわたしを見つめているのがわかった。
「確かに、この娘は、特別な魂を持っているようね。清らかで、美しい」
白くてきれいな手を伸ばしてフラウ様がわたしの頬に指先で振れた。
冷たい。
氷のように冷えきった指先にわたしは、びくっと体をこわばらせる。
「私たち、『強欲』の血を持つ者がもっとも好む魂を持つ者、ね」
ランナクルス王国に一旦戻っていたロクが1人の姫を連れて帰ってきた。
その姫は。
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わたしがぽぅっとして見つめているとロクがわたしの腕をひいて正気づかせる。
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ほえっ?
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それは・・
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鈴の音のようなかわいらしい声で姫が話すのに、わたしは、ぼぅっと聞き入っていた。
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「また、そんなことを」
ロクがうんざりした様子で冷たく手を振った。
「フラウ、君の言葉でクロトの心をかき乱そうとするのはやめてくれないか。クロトは、私と違って純粋なんだから」
「ふぅん」
フラウ様が興味深げにベール越しにわたしを見つめているのがわかった。
「確かに、この娘は、特別な魂を持っているようね。清らかで、美しい」
白くてきれいな手を伸ばしてフラウ様がわたしの頬に指先で振れた。
冷たい。
氷のように冷えきった指先にわたしは、びくっと体をこわばらせる。
「私たち、『強欲』の血を持つ者がもっとも好む魂を持つ者、ね」
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