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第6章 革命の夜

その12

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 「予定より急な話になりそうですまないな、クロト」
 話を切り出したロクがかすかに頬を赤く染めている。
 「その、君には、ゆっくりと婚約やら結婚のことを考えてもらいたかったんだがどうもそんなことは言っていられないようだ」
 結婚!
 わたしも頬が熱をもってくる。
 アリサもそうだけど、まだ17なのにもう、結婚ですか?
 でも。
 わたしは、ロクの横顔を見上げた。
 相手がロクなら。
 ロクは、少し過保護なところもあるけれどすごくわたしを思いやってくれている。
 ロクの思いにわたしは、答えられているのだろうか。
 ロクは、優しくって。
 いつもわたしを甘やかしてくれている。
 わたしが働きたいっていっても嫌々だったけど、許してくれたし。
 そうだ。
 「ロク」
 わたしは、ロクの名を呼んだ。
 「わたしが本当は、聖女だったってこと、父様たちに言った方がいいかしら?」
 「うん?」
 ロクが少し考えてから答えた。
 「私としては、黙っていて欲しい。そんなことが彼らに知れたら話がややこしくなりそうだし」
 「でも・・」
 100年に一度の神様をお迎えする旅には、聖女も必要だ。
 うん。
 だけど。
 このクロフクロスト王国には、わたしの他にも聖女認定されている人がいるしな。
 同郷のエルフの美少女アンナ・クリークもそうだし、クロフクロスト王国の王女である方も聖女だった。
 なら、わたしは、要らなくない?
 「わかった。わたしが聖女だってことは、内緒にしときましょう」
 「そうしてくれたら、助かる」
 ロクがわたしの腰に手をまわしてくる。
 わたしは、ロクの胸元に手をおきそっと体を委ねた。
 暖かい。
 わたしは、ロクの温もりが好きだ。
 ロクは、猫の魔物だからか少し体温が高い。
 そして、なんだかいい匂いがする。
 昔、読んだ本の中に魔女ミリアが『強欲』の悪魔の匂いを嗅いだときの匂いは、こんな感じだったのかも。
 魔女ミリアは、初めて『強欲』の悪魔の豊かな毛並みに顔を埋めたとき、その匂いをこう表現したと言われている。
 「まるで、お日様の匂い」
 
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