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第6章 革命の夜
その11
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「クロト、もう、イクセムとの結婚のことは、気にしなくてもいいわ」
母様は、わたしに向かって話した。
「あなたには、ロクザナ-ル陛下のもとに嫁いでもらいます」
「はぇっ?」
突然の母様の言葉にわたしは驚いていた。
うん。
こっちは、最初からそのつもりだったけど、でも、そんな簡単なことなの?
「でも・・わたしは、すでにイクセムの妻なのでは?」
「あなたとイクセムは、まだ床を共にしたわけではないわ」
母様がしれっとして答える。
「それに、イクセムと結婚するよりロクザナ-ル陛下のもとに嫁いでもらう方がよりよい政略になりますからね」
そ、
そういうものなんですか?
わたしは、ちらっとロクのことを見た。
ロクは、表情を変えることもなく母様に告げる。
「あなたのご判断は、正しい」
ロクは、母様に向かって口許を緩めた。
「もちろん、クロトを花嫁にいただけるならあなた方は、私の家族ということになります。私は、家族を守るためには労力を惜しみません」
「あら」
母様が手にしていた扇を開いて口許を隠して目を細める。
「嬉しいこと」
「さっそく、国に兵を送るように指示しましょう」
ロクが指を鳴らすとどこからか白い巨大な鳥が現れた。
ロクは、鳥に向かって命じる。
「聞いたか?トト。すぐに国に戻ってこのことをライナールたちに伝えてくれ」
鳥は、一声高く鳴くとすぐに姿を消した。
ロクのことをじっと見つめていた母様が口を開いた。
「この国に兵を送るには、いろいろ障害があるのではなくて?」
「大丈夫です」
ロクがにっと笑った。
「この国を落とすぐらいなら一個師団で十分でしょう。それぐらいなら転移の術で送り込むことができます。それより我が国の武力を盾に有利に速攻で交渉を進めていただきたい」
ロクは、わたしにちらりと視線を送った。
「そして、我らの国の絆を深めるためにも一刻も早くわたしとクロトの婚儀を執り行いたいと思います」
はいぃっ?
わたしは、顔から火がでそうなぐらいぼっと熱くなるのを感じた。
結婚?
ちょっと、待ってください!
心の準備が!
そうしてわたしたちは、しばし歓談した後、それぞれの居室へと戻ることになったのだが、わたしが夜着に着替えて休もうとしているとロクがわたしのもとを訪れたのだ。
母様は、わたしに向かって話した。
「あなたには、ロクザナ-ル陛下のもとに嫁いでもらいます」
「はぇっ?」
突然の母様の言葉にわたしは驚いていた。
うん。
こっちは、最初からそのつもりだったけど、でも、そんな簡単なことなの?
「でも・・わたしは、すでにイクセムの妻なのでは?」
「あなたとイクセムは、まだ床を共にしたわけではないわ」
母様がしれっとして答える。
「それに、イクセムと結婚するよりロクザナ-ル陛下のもとに嫁いでもらう方がよりよい政略になりますからね」
そ、
そういうものなんですか?
わたしは、ちらっとロクのことを見た。
ロクは、表情を変えることもなく母様に告げる。
「あなたのご判断は、正しい」
ロクは、母様に向かって口許を緩めた。
「もちろん、クロトを花嫁にいただけるならあなた方は、私の家族ということになります。私は、家族を守るためには労力を惜しみません」
「あら」
母様が手にしていた扇を開いて口許を隠して目を細める。
「嬉しいこと」
「さっそく、国に兵を送るように指示しましょう」
ロクが指を鳴らすとどこからか白い巨大な鳥が現れた。
ロクは、鳥に向かって命じる。
「聞いたか?トト。すぐに国に戻ってこのことをライナールたちに伝えてくれ」
鳥は、一声高く鳴くとすぐに姿を消した。
ロクのことをじっと見つめていた母様が口を開いた。
「この国に兵を送るには、いろいろ障害があるのではなくて?」
「大丈夫です」
ロクがにっと笑った。
「この国を落とすぐらいなら一個師団で十分でしょう。それぐらいなら転移の術で送り込むことができます。それより我が国の武力を盾に有利に速攻で交渉を進めていただきたい」
ロクは、わたしにちらりと視線を送った。
「そして、我らの国の絆を深めるためにも一刻も早くわたしとクロトの婚儀を執り行いたいと思います」
はいぃっ?
わたしは、顔から火がでそうなぐらいぼっと熱くなるのを感じた。
結婚?
ちょっと、待ってください!
心の準備が!
そうしてわたしたちは、しばし歓談した後、それぞれの居室へと戻ることになったのだが、わたしが夜着に着替えて休もうとしているとロクがわたしのもとを訪れたのだ。
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