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第5章 魔女の血族
その8
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「魔族?」
わたしは、ヨーゼフ先生に半信半疑できいた。
「魔物を祖にしているって・・魔物って、あの、ニモネみたいなものですよね?」
「もちろんニモネを祖に持つ者たちだっています。それ以外の魔物を祖に持つ者の方が多いですけどね」
ヨーゼフ先生は、口許を緩めた。
「この国の祖となったのは、あなた方の国で魔女と呼ばれる方であるミリア様でした」
魔女ミリア!
わたしは、ヨーゼフ先生をじっと見つめて耳を傾けた。
ヨーゼフ先生は、ふぅっとため息をつく。
「千年前、聖母ミリア様は、二人のお子をお産みになりました。一人は、男のお子でその方は、わがランナクルス王国の祖となりました。そして、もう一人の方は」
ヨーゼフ先生がじっとわたしを見つめた。
「秘密裏にクロフクロスト王国に嫁がれました。それがあなた方ゴブリンの祖となったのです」
「なんで秘密裏に嫁がれたのですか?それから、ミリア様の子の父親は、誰だったのですか?」
わたしが勢い込んできくとヨーゼフ先生が苦笑した。
「なぜ、秘密裏にだったか、というとそれは、クロフクロスト王国においては魔物を祖に持つ者というのが恐れられていたからでしょう。そして、ミリア様の双子のお子の父親の名は、我々にもわからないのです」
ヨーゼフ先生は、静かに語り続けた。
「ただ、仮説としては、このランナクルス王国の王族の祖であるお方、『強欲』の悪魔と呼ばれるハク様ではないか、と言われています」
「『強欲』の悪魔が魔族の父なのですか?」
わたしは、少し驚いていた。
わたしの中にも悪魔の血が流れていると思うとなんだか奇妙な気持ちがしていた。
ヨーゼフ先生は、口許を綻ばせる。
「まあ、それは、我々の希望的なものでしかありませんがね。子供の本当の父親の名前を知るのは、母親だけですからね」
わたしは、歴史の他にも様々な淑女に必要と思われることを学んでいた。
ロクは、王としての激務に追われながらも合間をみては、わたしのもとに顔を出してくれていた。
わたしは、ヨーゼフ先生に半信半疑できいた。
「魔物を祖にしているって・・魔物って、あの、ニモネみたいなものですよね?」
「もちろんニモネを祖に持つ者たちだっています。それ以外の魔物を祖に持つ者の方が多いですけどね」
ヨーゼフ先生は、口許を緩めた。
「この国の祖となったのは、あなた方の国で魔女と呼ばれる方であるミリア様でした」
魔女ミリア!
わたしは、ヨーゼフ先生をじっと見つめて耳を傾けた。
ヨーゼフ先生は、ふぅっとため息をつく。
「千年前、聖母ミリア様は、二人のお子をお産みになりました。一人は、男のお子でその方は、わがランナクルス王国の祖となりました。そして、もう一人の方は」
ヨーゼフ先生がじっとわたしを見つめた。
「秘密裏にクロフクロスト王国に嫁がれました。それがあなた方ゴブリンの祖となったのです」
「なんで秘密裏に嫁がれたのですか?それから、ミリア様の子の父親は、誰だったのですか?」
わたしが勢い込んできくとヨーゼフ先生が苦笑した。
「なぜ、秘密裏にだったか、というとそれは、クロフクロスト王国においては魔物を祖に持つ者というのが恐れられていたからでしょう。そして、ミリア様の双子のお子の父親の名は、我々にもわからないのです」
ヨーゼフ先生は、静かに語り続けた。
「ただ、仮説としては、このランナクルス王国の王族の祖であるお方、『強欲』の悪魔と呼ばれるハク様ではないか、と言われています」
「『強欲』の悪魔が魔族の父なのですか?」
わたしは、少し驚いていた。
わたしの中にも悪魔の血が流れていると思うとなんだか奇妙な気持ちがしていた。
ヨーゼフ先生は、口許を綻ばせる。
「まあ、それは、我々の希望的なものでしかありませんがね。子供の本当の父親の名前を知るのは、母親だけですからね」
わたしは、歴史の他にも様々な淑女に必要と思われることを学んでいた。
ロクは、王としての激務に追われながらも合間をみては、わたしのもとに顔を出してくれていた。
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